アップルTV最新気候変動ドラマ、『エクストラポレーションズ〜すぐそこにある未来(Extrapolations)』が描く世界
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通常は毎週土曜日に配信しているのですが、週末風邪で体調を崩してしまい、今回は本日月曜日配信とさせていただきます🙇♂️。ただ、週末に寝込んでいたおかげでAppleTVプラス配信の気候変動関連の最新ドラマを4話まで観ることができました😅。今回は冒頭そのことについて触れたいと思います📺。
2月18日配信のニュースレターでも簡単にご紹介していた新作ドラマの名前は、『エクストラポレーションズ〜すぐそこにある未来(Extrapolations)(Apple TV +) 』です。3/17に1~3話が公開され、その後毎週金曜日に新エピソードが公開、合計8話の構成(日本語字幕&吹替版有)です。*現在は4話まで公開され、第1話は無料で視聴が可能です。
▶Why it matter? なぜ注目しているか?
時に複雑で、まだ先のことと思いがちで、難しく、とっつきにくい印象の気候変動問題の理解を深めるために、映画やドラマ作品によるエンターテインメントはとても重要と感じるから。*参考『ドント・ルック・アップ( Netflix)』
この作品のスコット・バーンズ監督はパンデミックを予見したと言われる感染症の恐怖を描いた『コンテイジョン』を手掛け、かつて『不都合な真実』の制作に関わったという経緯の持ち主であること
巨大テック企業アップル社の配信サービスにおいて、メリル・ストリープ、エドワード・ノートン、トビー・マグワイア等の豪華著名俳優陣が出演、予算規模1,000万ドルとも言われる程の力の入った作品であること
2037年から2070年の33年間の間に、気候変動の影響を受け、世界がどのような姿になるのか、SF的なストーリーとビジュアルで思いを巡らすことができること。
マイアミでの海面上昇・洪水、ムンバイでの熱波、地球を冷やすために大気中に化学物質を散布するという物議を醸す「地球工学」の取組み等、現在話題になっていることが映像として映し出されることでリアリティを持って未来予測の議論のきっかけとなること
いくつかのレビュー記事で酷評されているように、気候変動問題に対して「上から目線で説教ぽい」側面が感じられる一方、このテーマのストーリーテリング、メディアでの取り扱い、社会での受け止められ方が極めて難しいということを理解するきっかけとして
将来の日常におけるテクノロジーのあり方を覗き見&想像できる点(空飛ぶクルマ、ホログラムやVR・ARグラスを使ったビデオ通話、無人貨物配送ドローン等…
超富裕層のハイテク企業CEOの存在、テクノロジーによる気候問題解決に関する過信・奢り、そして政治的・社会的な反発等
▶ご興味ある方はぜひ以下主要紙のレビュー記事を参照ください📰。「ドラマについて語る会」等も、もし3人以上希望者がいらっしゃればぜひ開催しましょう🙋♂️🙋♀️→ご意見フォームまでお気軽にご連絡ください。
・Apple TV’s ‘Extrapolations’ and why it’s so hard to make shows about climate change [3/17 The Washington Post] - Appleの「Extrapolations」は、気候を必見とするテレビを作ることがいかに難しいかを示しています。〜新ドラマは、道徳的な表現に熱中するあまり、最も不安な瞬間から目を逸らしてしまう。
・Extrapolations: Kit Harington, Yara Shahidi Talk Apple’s Climate Drama [3/22 The Hollywood Reporter] - スター勢揃いの気候ドラマ「Extrapolations」の制作秘話:"人々が感動し、楽しみ、そしておそらく少し怖がることを望む"〜”シエナ・ミラー、メリル・ストリープ、フォレスト・ウィテカー、キット・ハリントンら国際色豊かなキャストが出演するApple TV+の意欲的なリミテッドシリーズは、地球温暖化によって、愛や悲しみなど生活のあらゆる面が変化する近未来の人類に何が起こるのかを問いかけます。”
・In ‘Extrapolations,’ Scott Z. Burns Dramatizes Some Inconvenient Truths [3/15 The New York Times] - スコット・Z・バーンズ、「Extrapolations」で不都合な真実をドラマチックに描く〜“気候変動をテーマにしたApple TV+の豪華なシリーズは、野菜を食べましょうという訴えのように感じられたかもしれません。しかし、バーンズがそれをエンターテインメントに仕上げることができれば、そうはならない。”
・'Extrapolations' is the climate TV show we desperately need [3/16 Los Angels Times] - 「Extrapolations」は、私たちが切実に必要としている気候変動に関するテレビ番組です。
・We Need Better Climate Stories Than ‘Extrapolations’ [3/16 Heatmap News] - 「Extrapolations」より優れた気候の物語が必要 だ〜悲しいかな、Apple TV+の新番組はひどいものです。
・Extrapolations: the real science behind Apple’s climate change drama [3/17 The Verge] - Appleの「Extrapolations」に隠された本当の(そして時に物議をかもす)サイエンス〜The Vergeは、最初の3つのエピソードで、何が現実で何がSFなのかを分解します。
▶作品リンク『エクストラポレーションズ〜すぐそこにある未来(Apple TV +) 』(第1話は無料視聴可能)
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】最新のIPCCレポートについて
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書 統合報告書については各種メディアで報じられているものの、すぐに何かを読み取り行動に移すのは難しいかもしれません。様々な分析や深堀りのレポートも今後しばらく継続的に取り上げられたり、セミナー・イベントも開催されると思います。個人として、ビジネスとして、社会として、ぜひ継続的に注目しておきたいですね。
・公式サイト:https://www.ipcc.ch/report/ar6/syr/
・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書 統合報告書の公表について [3/20 環境省]
・緊急の気候行動により、すべての人々が住み続けられる未来を(2023年3月20日付 IPCC プレスリリース・日本語訳)[3/23 国連広報センター]
・IPCC・AR6統合報告書オンラインイベント「執筆者と深掘り!気候変動の最新知見と、これから」開催告知 | 国立環境研究所
・IPCC報告 “短期に気温上昇1.5度に到達 大幅な排出削減策を” [3/21 NHK〜脱炭素社会への動き]
・IPCC「大幅削減の手段ある」 1.5度目標、望みつなぐには [3/21 朝日新聞デジタル]
・“サンマ不漁 原因の一つに地球温暖化の影響” IPCC報告書 [3/21NHK]
・信頼できる?相次ぐ“脱炭素”宣言 [3/24 NHK WEB特集]
【2】「SDGs疲れ」全世代に広がる、意識調査で明らかに [3/23 オルタナ]
オルタナ総研はオズマピーアール(東京・千代田)と、企業のサステナビリティ領域実務担当者と生活者を対象にした「SDGs意識調査」を行った。企業のSDGsに関する情報発信は増えているが、生活者の「SDGs疲れ」とでも呼ぶべき現象が浮き彫りになった。
①意識調査によって、生活者の「SDGs疲れ」とでも呼ぶべき現象が浮き彫りに
②SDGsに関する情報発信に「飽きや疲れを感じる」と答えた生活者は62.4%
③今後、情報発信する際には、ネガティブ情報の発信と「対話」が重要だ
【3】ESGファンド設定、2割に急減 「名ばかり」規制強化 [3/20 日本経済新聞]
「SDGs疲れ」と共に、ESG「ウォッシュ」と連動するESG関連投資信託の新規設定数の8割減少という「激減」の状況に改めて驚かされます。
ESG(環境・社会・企業統治)を重視する投資信託の新規設定が世界で急減している。年初からの設定本数は1年前の2割にとどまり、6年半ぶりに低いペースだ。ESGを打ち出しながら内実の異なる「ウオッシュ」に対して規制強化が進んだ影響が大きい。ファンドの乱立に歯止めがかかったものの、投信の質の向上はなお道半ばだ。
【4】EU 合成燃料条件にエンジン車の販売継続認める 日本への影響は [3/27 NHK]
・EUが35年以降もエンジン車販売容認、方針を転換 合成燃料利用で [3/25 日本経済新聞]
脱炭素対策という点で日本国内でも大きな注目を集めているこのニュース。コストの高さが指摘されている「合成燃料」の利用が認められることで今後日本の自動車メーカー含めどのように対応するのか、注目です。
【5】We should regulate SUVs out of existence [3/23 Financial Times]
「SUVを規制して廃車にすべき〜気候に悪いだけでなく、車道で子供を含む歩行者を殺しています。」
こちらはFinancial Timesのオピニオン記事ではありますが、SUVを規制すべき、という声もあることに驚き、ご共有です。日本国内でも新車販売台数の3割を超えるSUV市場に対し、こうした指摘もあることは注意しておいたほうがよいのでは、と感じます。
SUVは昨年、世界の車の売り上げの約46%を占め、英国の3倍の炭素排出量を放出している。また、交通事故と死亡を増加させている。
SUVは主に裕福な人々によって運転されており、大型車をなくすことは、まず排出量を減らし、次に交通事故を減らすことにつながる。
SUVは競争を引き起こし、他の車が大型であると、小型車の運転者が不安を感じ、大型車に乗り換えることになる。
大型車を規制することは、自由を制限することになるが、環境主義の強制とは異なります。
【6】Climate Tech 輪読ゼミ (第2回) 開催のお知らせ
GX や Climate Tech の基礎知識を身に着けるための、毎週月曜日 19:00 ~ 20:50 に Zoom で集まって議論するゼミ形式の連続イベントが開催されるにあたり、4月22日締切で参加者募集中とのことです。東京大学 FoundX ディレクター馬田さん主催の勉強会で、私は昨年の秋に開催された10週間に渡る勉強会に参加させていただきました。同じ興味関心を持つ多くの方々と共に学び、様々なつながりも生まれ、とても貴重な経験でした。ご興味ある方はぜひ参加されることをオススメします🙂。


【7】NewsPicks「地球支局」が描くグリーン経済・気候テック
このニュースレターを購読されている方には既にお馴染みかもしれませんが、経済・ビジネス系メディアのNewsPicksさんは、以前から欧米を中心とした海外の気候テック、グリーン経済についての現地レポートを継続的に丁寧に伝えてくださっている貴重な存在、と感じています。そして今回、「地球支局」の後藤 直義さん&岡 ゆづはさんによる新しいポッドキャスト番組「GREEN IMPACT〜地球を救う、ヤバいビジネス〜」がスタートしたとのことです👏🎉。1年をかけて世界中のグリーン経済の取組みを取材し、現地からその様子をレポートされるとのこと、とても楽しみですね。
NewsPicksでも引き続きマルチ言語での字幕付きビデオコンテンツも配信されてます。
・【マネー沸騰】気候変動テックの「最前線」で今起きていること [3/27 NewsPicks]
また、2月末に登壇されたCity-Tech.Tokyoのアーカイブ動画も既に公開されてます。ご興味ある方は併せてこちらもぜひご覧ください。私は当日会場で聴講したのですが、とても会場が熱気に溢れていたことを思い出します。
【*3/21 配信の英語ニュースレター 「Japan Climate Curation」(購読者数約1,260人)より】
Reflecting Decarbonisation Expo & World Smart Energy Week
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は以上となります。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報] https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
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では、どうぞよい1週間ををお過ごしください🙂🙋♂️
市川裕康
株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
Twitter: @SocialCompany
英語版ニュースレター「Japan Climate Curation」(Linkedin)📬