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気候変動、サステナビリティ、脱炭素をキーワードに一週間を振り返った時、今週最も多く目にしたテーマは、ESGに対する批判、グリーンウォッシング疑惑、改めてESGの意味を問い直すべき、との声でした。
岐路に立たされるESG
ESG exposed in a world of changing priorities - Investors ask hard questions of the market trend, but responsible investing will survive(優先順位が変化する世界で露呈するESG - 投資家は市場の動向に厳しい問いを投げかけるが、責任ある投資は生き残る)[6/3/2022 Financial Times *要約 by summari] 米国版エディター・アット・ラージのジリアン・テット氏によるコラム。
ウクライナの戦争によりエネルギー安全保障や貧困削減というテーマがグリーン転換・脱炭素と同じくらい重要度を増し、ESGの意味をもう一度考える必要がある、と指摘されてます。
背景として起きていることをいくつかのニュースの見出しで箇条書きにしてみます。
英銀行大手HSBCホールディングスの資産運用部門において責任ある投資業務のトップを務めるのスチュアート・カーク氏が、金融業界による気候変動問題を巡る懸念は過剰だと発言したことで物議を醸しだし、その後停職処分を受けるに至りました。(実際のプレゼンテーション動画)『気候リスクは単に 心配する必要のある金融リスクではない』『100年後にマイアミが6メートル水没していても、誰が気にする?』と元Financial Timesのジャーナリストでもあるカーク氏は確信犯的に訴えています。この発言は直後に雇用主からの停職処分を受けると同時に、一部の業界関係者からは喝采を受けたとも言われているそうです。ESG、新しい資本主義の通説に疑問を投げかける機運が高まっていることが伺えます。
DWS CEO Steps Down After Greenwashing-Related Police Raid [6/1/2022 ESG Journal] ドイツ銀行の投資部門であるDWS(欧州最大級の資産運用会社)は、同社におけるグリーンウォッシング疑惑の捜査の一環として、警察がDWSとドイツ銀行のフランクフルト事務所に家宅捜索に入った翌日、Asoka Woehrmann CEOの辞意を発表したことが報じられてます。
米SEC、BNYメロンに制裁金「ESG投資の開示不十分」[5/25/2022 日本経済新聞]
「米証券取引委員会(SEC)は23日、米銀大手のバンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンの資産運用子会社に対し、投資先のESG(環境・社会・企業統治)に関する情報開示が不十分だとして制裁金150万ドル(約1億9000万円)を科した。SECがESG関連規制を巡って大手金融機関を処分するのは初めて。」
The war on ‘woke capitalism’ - Rightwing populists and industry sceptics are mounting a backlash against a vision for business that looks beyond profits(目覚めた資本主義」に対する戦争 - 右翼ポピュリストと産業界の懐疑論者は、利益を超えたビジネスのビジョンに対して反発を強めている。)[5/28/2022 Financial Times *要約 by summari]
イーロン・マスク氏によるESGは詐欺だとの発言
「S&P500による環境・社会・ガバナンス(ESG)評価で、エクソンは世界のトップ10にランクイン、テスラはランク外だった! ESGは詐欺だ。ESGは偽りの社会正義の戦士によって武器化されている。」
欧州ESG債ファンドから資金流出、7週連続 10年半ぶり [6/1/2022 日本経済新聞]
ESG関連の株価指数がエネルギー業界と逆転する直前にいるという現実(FT記事:ESG exposed in a world of changing priorities より)
以上、国内では世界のESGマネーを取り込むべく気候リスク開示等の推進が求められているところではあり、適切な開示ルールが求められています。企業のESG関連情報の開示は今後も必要になることは変わらないとしても、ESG、特にEの(環境)リスクの内容、考え方、定義、グリーンウォッシングを防ぐためのルール等、まだまだいろいろな議論が今後も進展していくことが伺えます。こうした海外の動向も視野に入れながら取り組んでいくことが大切になると感じます。
ESGマネーが日本を去る日 欧州規制への対応に遅れ[5/30/2022 日本経済新聞] “ESG(環境・社会・企業統治)マネーが日本株を素通りするリスクが浮上している。欧州の規制強化により、運用会社は投資する企業について温暖化ガス排出量など詳細なESG関連の情報開示が必要になる。日本企業が投資家からの開示要請に対応できない状況が続けば、投資対象から外される可能性がある。”
海外気候変動ニュース情報源 〜「Climate Nexus」
『みなさんは日々どのように気候変動関連のニュースをチェックしていますか?』
この問いは昨年気候変動に関して興味を持ち始めたときから一貫して興味を持っている問いの一つです。今回ご紹介したいと思ったのはClimate Nexus Hot Newsというメールニュースレターです。平日毎日、日本時間の夜9時半頃に配信されますが、エネルギー、政策、再生可能エネルギー、金融等、様々なテーマ毎に厳選された短いニュースの見出し情報とリンクが配信されます。
最初はその情報量に圧倒されていたのですが、つい先日リリースされたばかりのDeepLという自動翻訳ツールの全ページ翻訳機能を活用することで見出しを「ざっと」眺めることが可能になりました。しばらく定期に的に活用してみて、来週感想等をまた共有できたらと思っています。1週間程眺めてみて感じるのはとても精度が高く、厳選されている情報が網羅されていると感じます。すべてをじっくり読むわけではなく、あくまで気になる見出しをチェックする、というスタイルで活用されることをお勧めします。
DeepLの翻訳機能については先日日経COMEMO/note投稿で掲載した記事があるのでよろしければぜひそちらもご覧ください。
ページ全体の自動翻訳が可能に。年間65%の利用増のDeepL、問われるのは「何に活用するか?」 [5/24/2022 日経COMEMO/note]
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は以上となります。ニュースレターの構成、分量、切り口などは今後少しずつ工夫・改善をして変化をしていく予定です(フィードバック、感想、ご意見も歓迎です🙇♂️🙂)。
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では、よい週末ををお過ごしください🙂
市川裕康
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