脱炭素・気候変動・気候テックのニュース・キュレーションを始めた理由
こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。
先週配信分のニュースレターの中で『脱炭素・気候変動・気候テックのニュース・キュレーションの提案』ということで日々の小さなニュースにアンテナを張ってみることで大きな流れが見えるかもしれない、ということをご紹介しました。自分自身も定期的に自分流ニュースキュレーションのしくみを更新・改善を試みているのですが最近頼りになる、と感じるのが「Feedly」というサービスです。様々なニュースメディアやブログを登録しておくことで関連する記事を簡単に見つけることができます。ご興味ある方はぜひお試しください。
EVシフトから再生可能エネルギー、人工肉に気候変動・脱炭素関連の政策の発表、気候変動にまつわるトピックは本当に多岐に渡ることもあり、自分なりの情報収集のしくみづくりの更新作業というのは終わることのない、日々の小さな改善・工夫の連続、と感じます。
改めてなぜこうして自分がニュースレターを始めたかを考えると、あらゆる企業、組織、事業者、個人の方で今後必要とされる気候変動、カーボンニュートラル等の情報収集に関して、それぞれの立場、興味に基づいたキュレーションのしくみを構築していただく参考になれば、という想いに立ち返ります。
少し古いデータですが、経済産業省作成の資料「中小企業のカーボンニュートラル施策について 」によると、カーボンニュートラルの影響への方策検討状況は8割がしてない、という回答です。
私が住んでいる静岡県西部地域のシンクタンク「しんきん経済研究所」で昨年12月に実施した「カーボン ニュートラルに関するアンケート調査」結果を見ると、取組済みとの回答は16.3%で、取り組んでない多くの企業は「何をすればいいかわからない」と答えている点が印象的です。
国や地方自治体からの要請、指示を待つ、一般的な概論についてのセミナー受講をするという方法もあるとは思いますが、それぞれの企業、個人が業界、規模、キーワードに基づいたニュースキュレーションを行うことで今後の指針やヒントが得ることができるのではないか、と強く感じます。同業、同規模の企業の海外の事例調査等の必要性があれば、DeepLのような翻訳ツールを活用することでだいぶ効率化が可能ですし、必要があればぜひお力になることができればと思ってます。お気軽にご連絡ください。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、今週はご紹介したFeedlyを積極的に活用する中で気になったニュース・トピックを9本、以下ご紹介したいと思います。参考にしていただけたら幸いです。
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】「地球温暖化を食い止める」 発信する気候科学者を突き動かすもの [2022/10/8 毎日新聞]
神戸市の石炭火力発電所を巡る民事訴訟で原告側の証人として法廷に立った東大江守正多教授の取組についての深堀りレポート。研究者でありながら様々なメディアで積極的に気候科学者の視点から地球温暖化対策の啓蒙活動に取り組む江守教授の過去・現在が丁寧な取材を通じて紹介されてます。思いがけない交友関係も印象的でした。
気候危機の根本原因は資本主義にあると指摘したベストセラー「人新世の『資本論』」の著者で、東京大准教授(経済思想)の斎藤幸平さんは、プライベートの時間にも持続可能な社会経済システムのあり方を論じてきた友人だ。
【2】週刊エコノミスト EV&電池世界戦
先週ご紹介したEV&電池特集ですが全12本の特集記事を、例えばAmazon Kindle Unlimited(月額650円)であれば全て閲覧可能で、月額約400円のdマガジンや楽天マガジン等のサブスクリプションサービスを利用することで約8割の記事を閲覧可能です。実際に今回Kindle Unlimitedのサービスを利用して全12本に目を通してみました。欧州、中国、韓国、米国、そして日本におけるEVのシフトの状況がとても詳しく描かれていて、充実の特集記事でした。
・韓国攻勢 EV3台につき充電器1基を設置済み [2022/10/6 エコノミスト ]
*2020年12月時点での紅葉の充電器設置数は約3万3,000基だったのが、政府が積極的に推進したことで2021年末までに10万5,000基までに急増し、韓国国内では既に「EV3台当たり1基」という規模にまでインフラが充実しているとのことです。
【3】コラム:中国がリードするEV市場、欧州が逆転する可能性と理由 [2022/10/10 ロイター]
販売用自動車在庫におけるEVシェア世界上位10カ国中9カ国は欧州勢。そのうち7カ国はシェアが3%ないしそれ以上。絶対的なEV販売台数では中国が群を抜いてトップだが、ノルウェーとドイツ、オランダ、英国はいずれも昨年の100万人当たりのEV販売台数が中国を上回った。
【4】ソニー・ホンダモビリティ会見「半導体は800TOPS以上」[2022/10/14 日経モビリティ ]
EVシフトに関しては日本にとっての基幹産業であり、多くの人の生活の近くにある商品ということで今後も戦国時代さながらの攻防が繰り広げられていくことと思います。
日本経済新聞が11月24日にスタートを予定している新しい3つのデジタルメディアのうち、日経モビリティ、日経GXは成長分野に力を入れている様子が伺えます(現在は登録をすることで無料で閲覧できます)。
【5】東京大学 FoundX ディレクター / 『未来を実装する』等の著者の馬田隆明さんによる『GX/Climate Tech ゼミ』開催
10月25日〜12月27日までの毎週火曜日 19:00 ~ 20:00 に Zoom で集い、議論するゼミ形式の連続イベントを開催されるとのことです。『GX/Climate Tech 領域での起業や新規ビジネスの促進に寄与できれば』という企画意図で無料で開催されるとのこと、文献リストには数多くの参考になる情報が網羅されてます。私も早速申し込みをしました。ご興味ある方はぜひ一緒に参加しましょう🙂🙋♂️


【5】ゼロエミッションの鉄鋼スタートアップElectra、120億円超を調達[2022/10/10 ESG Journal]
2020年に設立されたElectraは、鉄鉱石を電気化学的に純鉄に精製するプロセスを開発し、同時に炭素排出をゼロにする米スタートアップ企業。プロセス温度を現行の1,600℃から60℃に大幅に下げ、石炭の代わりに断続的な再生可能エネルギーを使用し、商業鉱石の代わりに廃棄物として扱われることの多い低品位鉱石を利用する。ビル・ゲイツが設立したBreakthrough Energy Ventures、Amazon、BHP Ventures、Temasek、S2G Venturesなどの投資家から10月6日、8,500万ドル(約123億円)の調達を発表したことが報じられてます。詳しくはブルームバーグ・グリーンの人気ポッドキャスト「Zero」と記事で紹介されてます。コーヒーを沸かす程度の60度で製鉄が可能とのこと、驚かされました。
Inside the Bill Gates-Backed Startup Making Zero-Emissions Steel - Bloomberg [2022/10/6 Bloomberg Green]
【6】植物肉ビヨンド・ミート、人員2割削減 逮捕のCOO離職[2022/10/15 日経新聞 ]
米国のClimate Techの勢いは何度もお伝えしているようにベンチャー資金、人材、技術イノベーション、政策、社会的な認知含め勢いがあるのは間違いないのですが、どうしても浮き沈みがあるのも現実のようです。ビヨンド・ミートも株価が直近ピーク時の18分の1の水準に落ち込んでいるそうです。
植物由来の代替肉を製造する米ビヨンド・ミートは14日、従業員の約2割にあたる200人を解雇すると発表した。需要が伸び悩むなかで競争が激しくなり、業績不振に陥っているためだ。気候変動や食糧難対策の騎手として脚光を浴びたが、インフレ下で割高な植物肉への支持を広げるのに苦戦している。
【7】水素・アンモニアを巡る動き
・自民・萩生田氏、アンモニア発電視察 脱炭素切り札[2022/10/14 産経新聞 ]
・環境NGO、「水素・アンモニアは脱炭素にならない」と警鐘[2022/10/12 オルタナ ]
こうしたテーマは国の政策と環境NGOとでは異なる視点で報じられてます。自分自身はまだ学びの途中ではありますが、多様な視点で見つめていきたいと思います。
【8】今週気になった書籍
・Investing in the Era of Climate Change(気候変動時代の投資)
国内で馴染みのない 気候変動 というテーマを学ぶ手段として少額の投資という行為からでも学べる点は沢山ありそうです。著者はコロンビア大学ビジネススクールのブルース・アッシャー教授。
・The Climate Book (2022/10/27発売予定)
環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんによる書籍、COP27のタイミングに併せて出版される書籍。Gurdianに書籍の一部が掲載されてます。
Greta Thunberg on the climate delusion: ‘We’ve been greenwashed out of our senses. It’s time to stand our ground’ [2022/10/8 The Gurdian ]
・THE WORLD FOR SALE(ザ・ワールド・フォー・セール) 世界を動かすコモディティー・ビジネスの興亡
EV電池に必要な鉱物資源のことを調べていた時にとても興味を持ったコモディティ・ビジネスのことがとても詳しく描かれている書籍。
【9】注目のカンファレンス SOSV Climate Tech Summit 10/25-26
世界最大規模のClimate Techに関するカンファレンスが10月25日&26日に開催されます。スピーカーのリストを見てみたのですが注目起業家、投資家、ジャーナリスト、政府幹部等、とても幅広い著名なスピーカーが数多く登壇予定です。あいにく日本時間では深夜から朝までと時差の都合でリアル視聴は難しそうですがアーカイブ動画が後日掲載されるとのこと、ぜひ注目したいと思います。
以上、今回は9つのトピックを紹介させていただきました。一つでも参考になる情報があれば嬉しく思います。先週お伝えしたとおり、日々のニュースキュレーションのコーチング・コンサルティングにご興味がある方向けに実験的に『60分の無償コンサルティング』という形でお話させていただければと思ってます。こちらのブログ記事をご覧の上、ぜひお気軽にご連絡いただければ幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は以上となります。今回初めてニュースレター「Climate Curation」を知っていただいた方は以下のボタンから購読いただけます(英語版はこちら)。もし興味を持っていただけるようであれば、いいね♥へのクリック、同僚、ご友人への転送、シェア等していただけたら嬉しく思います🙇♂️。
では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋♂️
市川裕康
株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
Twitter: @SocialCompany
英語版ニュースレター「Japan Climate Curation」(Linkedin)📬