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【1】今週も数多くの気候変動をテーマにしたニュースが溢れてましたが、一番注目を集めたのはやはり「パタゴニア 創業者のイヴォン・シュイナード氏による約30億ドルと評価されるパタゴニアの所有権を特別に設計された信託とNPOに譲渡」という一報だったのではないでしょうか。信託からの配当金の規模感は年1億ドル(約140億円)と見積もられていて、今後継続的にこれだけの金額が気候変動対策に投じられる、という創業者の英断に注目が集まっているようです。
パタゴニア創業者「気候変動対策の加速目指し」全株式を委託・譲渡。年100億円超の配当金は環境団体の資金源に [2022/9/15 ビジネス・インサイダー]
「地球が私たちの 唯一の株主」パタゴニア社ホームページ
こうした機運が呼び水効果をもたらすのでは、と希望を感じさせてくれます。パタゴニア社の発表の翌日、カナダ発の人気スポーツ衣料品メーカー、ルルレモン・アスレティカの創業者で億万長者であるチップ・ウィルソン氏が、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の土地を保護するために、カナダドルで1億ドル(米国では約7600万ドル=日本円で約107億円)の寄付を行う計画を発表したと報じられてます。
▶Lululemon founder Chip Wilson gifts $100M to help protect nature in B.C. [2022/9/15 The Canadian Press / CBC]
ルルレモン創業者が故郷カナダの森林保護に約110億円を寄付 [2022/9/17 Forbes ジャパン]
今年の夏に世界中で被害をもたらした猛暑、干ばつ、山火事、洪水等の映像や報道に接する機会が増えるにつれて、こうした寄付、そして投資、政策、企業行動にも大きな変化がもたらされるのではないかと期待しています。
【2】既にスタートアップ投資の世界ではそんな兆候が見られるようです。
▶2022年、クライメート・テクノロジーは注目の投資対象 - 今後5年間はさらに注目される可能性がある [2022/9/9 TechCrunch]
米データ分析・調査会社PitchBookの分析によると、今から5年後の気候テック(Climate Tech)関連市場規模は1.4兆ドル(約200兆円)近くに達し、年平均成長率は8.8%になると予測されてます。 この分野の2021年の投資額合計は400億ドル(約5.7兆円)[*Climate Tech VC調べ] と言われてます。
【3】脱炭素はイデオロギー闘争ではなく機会
上記欧米の気候テック投資への熱狂を見ながら感じるのことは、日本では今ひとつそうした機運が伝わってないのでは、と感じることです。以下の記事で提言されていてとても共感したのは、『 マーケティングの力を過小評価することは、日本の脱炭素化、日本の価値向上を阻害する』という点です。例えば欧米では #climateTech というテーマで気候テックに注目が集まり、資金、優秀な人材がシフトしている時に、共通言語がなく、マーケティング力不足のために、日本企業、日本のスタートアップにアクセスが得られないのは「もったいない」と感じます。
また、昨今のEVシフトの世界的な流れを見るにつけ、提言で掲げられている「日本社会の変革」という点にも共感します。
「脱炭素化は日本の力を底上げする最後のチャンス」/ポスト石油戦略研究所代表大場紀章氏インタビュー[2022/9/14 MITテクノロジーレビュー]
【4】「メイドインジャパン」の今後
少し古い作品になりますが、2013年にNHKで放映された「メイドインジャパン」というドラマがあります。当時の「円高、欧州債務危機、中国・韓国等新興国の追い上げ」という状況下において製造業が軒並み危機を迎える中、巨大電機メーカーが「余命三か月」の倒産の危機に追い込まれた、というストーリーです。電機メーカーが開発したリチウムイオン電池技術が中国の新興企業に持ち出され、当時立ち上がりつつあった中国のEV市場の中で日本企業がどう対峙するかが描かれます。
あれから10年近くの年月を経て、EV市場が本格的に拡大しつつある状況で改めて観てみるといろいろと考えさせられることがあります。NHKオンデマンドやU-Nextで視聴可能です。ご興味ある方はぜひ📺👍
電気自動車に関してはちょうど先日デトロイトで開催された北米国際自動車ショーに関しての報道が話題です(日本企業が開発した空飛ぶバイク、インパクトありますね)。
バイデン氏「全米を電動化」3年ぶり北米自動車ショーで [2022/9/15 日本経済新聞]
(会場を訪問したバイデン大統領は)演説のなかで「企業は米国で、EVに360億ドル(約5兆1500億円)、車載電池に480億ドルを投資すると表明している」と述べ、メーカーなどの取り組みが活発になっていることを評価した。そのうえで「(電動化は)まだ始まったばかりだ」と話した。EVの充電インフラ整備に75億ドルの予算を投じる計画にも触れ、政府の後押しを強調した。
以下はVisual Capitalistというデータビジュアライゼーションのサイトに掲載された過去10年間の国別EV世界販売台数のグラフです。今後数年、2030年にかけてこのグラフがどのように変化を遂げるのか、注目したいと思います。
▶地方・中小企業・地銀の脱炭素化の取組み
99.7%をグリーンに 中小企業の脱炭素化を後押しする地銀:気候革命[2022/9/16 毎日新聞]
年商100億円超の企業でも7割、5億円以下に至っては85%近くが温室効果ガスの排出実質ゼロに向けた方策の検討を「何もしていない」と回答(商工中金実施意識調査:21年7月 )
「脱炭素は日々情報が変わるので、勉強が大変」という現場の声はありつつも、将来の生き残りをかけて地銀が地方中小企業に対して脱炭素コンサルティング業務や、脱炭素化の目標を達成すると融資の条件を緩和するローンを手掛ける等、様々な取組事例が紹介されてます。
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市川裕康
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