こんにちは。今回で3回目の配信です。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。継続して読んでくださっているみなさん、ありがとうございます。
ニュースレターを配信するということをきっかけに、意識的に過去1週間に目にしたニュース、感じたこと、考えたこと等を振り返ることができるのがとてもありがたいと感じます。
みなさんはこの1週間、気候変動に関してどんなニュースに興味を持たれましたか?
今回掲げたいテーマは、「IPCC報告書がもたらした波紋、疑問、アクション、新事業とは」です。
先週月曜日深夜に配信されたIPCC報告書に関しては前回も取り上げたのですが、やはり公表直後ということで「今しかない(now or never)」という、二酸化炭素(CO2)の排出を「素早く、深く、即時の」削減が必要、という危機的な状況を伝え、様々な削減策のポイントをかいつまんで解説するような記事が多かったように感じます。化石燃料の削減、再生可能エネルギー、EVの利用促進、森林活用、そして炭素削減の重要性にも触れられた点に注目が集まっていました。今回は以下のような構成でお届けします。
IPCC報告書公開後2週目の報道の量、形式、切り口、課題等
再生可能エネルギー、気候テック分野のレポートの相次ぐ公開
EVシフト加速、炭素除去スタートアップの資金調達、新事業創設
年次株主総会における脱炭素に向けた提案動議、アクティビズムの季節
週末にオススメの自然ドキュメンタリーや気候変動関連の映画・ドラマ🍿🎞️📺
【1】IPCC報告書公開後2週目の報道の量、形式、切り口、課題等
IPCC報告書の公開から1週間が経ち、少しずつ深い、分かりやすい解説記事等も目にするようになったように感じます。以下の記事は登録が必要ですが無料閲覧できて、コンパクトにまとめられてます(*八木橋さん、教えてくださって感謝です。)
IPCC第6次報告書WG3サマリー:気候変動緩和に関する6つの重要ポイント(4/11 ESG ジャーナル)
切り口も様々な角度から分析、解説しているものが増えていて、例えばClimatetech分野のベンチャーキャピタル業界についてのニュースレター、CliamtetechVCではVC業界の需給のミスマッチがあると指摘しています。左側の赤いグラフはIPCC報告書の中で示されている今後CO2削減の潜在可能性が高い分野を示しています。右側の緑色のグラフは、過去2年間にベンチャー投資が投じられた分野ごとの比較を示しています。電気モビリティ(自動車)、炭素除去関連への投資が高い一方で、潜在可能性の高い生態系修復に関しては十分に資金が投じられてないことが伺えます。
一方で、単純比較はできないのですが、英語圏で「ipcc report」、そして日本語圏で「IPCC 報告書」と検索すると、当然ではありますが、圧倒的に英語圏での言及数が多いことが伺えます(英語圏で1,207件、日本語圏で76件)
*SNS上でシェアされている記事等の分析ツール、Buzzsumoを利用して 4/1-4/15の期間で検索した結果
ただ、英語メディアにおいても、IPCC報告書は「途方もなく長く難解な専門用語が溢れたポンコツだ、との指摘もあり(Financial Times)、分かりやすい表現や気候変動についての用語集等の必要性も強く感じます。
Financial Timesは今回新たに「Climate change A to Z: an FT jargon buster」というページを作成し、現在80近い気候変動関連の用語解説を掲載しています。FTのページは購読者専用となってますが、その他にもBBC、国連気候変動(UNCC)のサイトでも用語集を用意してます。日本語でも一般財団法人環境イノベーション情報機構等が検索可能な用語集を用意していて参考になりそうです。
【2】再生可能エネルギー、気候テック分野のレポートの相次ぐ公開
過去1〜2週間、気づいただけでも数多くの気候変動、脱炭素についての主要レポートが公開されていることに気づきました。いくつかを挙げてみます。
Renewable Capacity Statistics 2022 (再生可能エネルギーについてのレポート International Renewable Energy Agency : IRENA)
GWEC's Global Wind Report 2022 (風力発電についてのレポート Global Wind Energy Council : GWEC)
LinkedIn’s Global Green Skills Report (Linkedin が作成したグリーン・ジョブについてのレポート)
The Future Today Institute's 15th Anniversary Tech Trends Report : Climate, Energy & Space (気候テック分野の最先端のトレンドが81ページに渡って詳細に紹介されてます)
Climate50 (気候テック分野のVCファームの投票企画。現在投票受付中で発表は4/25)
【3】EVシフト加速、炭素除去スタートアップの資金調達、新事業創設
EV世界販売460万台、HV超え ホンダは5兆円投資(4/12 日本経済新聞)
ホンダ、EVに10年で5兆円投資 30年までに世界で30車種(4/12 日本経済新聞)
「加速するEVシフト~自動車産業の試練」(時論公論) (4/8 NHK *4/15 23:45 までNHKプラスで見逃し視聴が可能です )
地球を温暖化から救う?大気中からCO₂を回収する新技術に脚光 (4/9 SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部)
Climeworks raises CHF 600 million in latest equity round(4 / 5 Climeworks HP)
ストライプ等テック企業が約1,100億円を投じて「炭素除去市場」創出を目指す「呼び水」ファンド〜フロンティア ( 4/14 日経COMEMO記事より)
炭素除去のための技術、スタートアップ、エコシステムを支援するために、決済大手のストライプ、アルファベット(Google)、メタ(Facebook)、eコマースのショッピファイ、マッキンゼーが「呼び水」として将来の購入者としての売上を担保するしくみを創設という壮大な企画。そのために9 億 2,500 万ドル(約1,161億円)を今後8年に渡ってコミットするという構想に改めて炭素除去技術への注目度が伺えます。
【Frontier 紹介動画】
【4】年次株主総会における脱炭素に向けた提案動議、アクティビズムの季節
国内外の環境NGOが国内4企業に株主提案 4/13 FoE Japan
国内外の環境NGOとその代表者を含む個人株主が、金融、商社、電力の3業界の4企業(三井住友フィナンシャルグループ、三菱商事、JERAの株主である東京電力ホールディングスと中部電力)に対し、気候変動対策の強化を求める株主提案を提出したことが報じられてます。ウクライナ情勢、エネルギー価格の高騰等などの難しい状況に直面しつつもネットゼロに向けてどのような判断がされるのか、注目の年次総会の季節。国内外でNGOやアクティビストファンド、大手年金ファンドの動きに注目です。
アクティビズム、求められる気候リテラシー
So folks have been comparing the weird @GMB morning show interview with the climate activist in the UK with *that* scene from #DontLookUp. So we at the @MehdiHasanShow put them side by side & the results are.. astounding. Reality mirroring art! Watch:こちらの投稿された動画が2万回近くリツイートされて注目を集めています。化石燃料の発掘に反対する「Just Stop Oil」というキャンペーンの活動家である学生と英国のモーニングショーの司会者とのやり取りが全く噛み合わず、Netflix映画「ドント・ルック・アップ」の中で描かれたシーンのパロディーとして話題になったものです。普通の市民生活を混乱させるデモ活動の是非はあるものの、番組司会者の気候変動についてのリテラシーの低さやメディアのこの問題への向き合い方の課題等、いろいろなことを考えさせられる内容であると感じます。番組の中で活動家の学生は司会者に対し「最新のIPCC報告書は読みましたか?科学者の知見に耳を傾けてほしい」、と訴えているところが印象的でした。
ちょうどBBCが最近、ジャーナリストのための気候変動と報道についての無料オンライン講座を創設したことも含め、タイムリーな話題でした。
【5】週末にオススメの自然ドキュメンタリーや気候変動関連の映画・ドラマ🍿🎞️📺
ネットフリックスのサステイナビリティの取り組みとして、「EarthCollection」と題し、気候変動や自然環境等を題材にした170本以上の作品がまとめられています。今まで知らなかった魅力的な作品が沢山含まれていて、連休に向けて楽しめるような作品に数多く出会えるかもしれません。
私たちの地球とそこに生きるヒーローたちを称える、"アースマンス"の新コレクション(4/13 ネットフリックス公式ブログ)
オバマ元大統領がナレーションを務める「グレイト・ナショナルパーク: 驚きに満ちた世界」、4月29日配信予定の「Youth v Gov: 私たちの気候変動訴訟」や「風をつかまえた少年」等は是非観てみたいと思いました。あの「パラサイト」のポン・ジュノ監督が手掛けたドラマ「スノーピアサー」や、まだ翻訳されてないオランダのSFスリラー映画「Captain Nova」等もとても魅力的です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は以上となります。ニュースレターの構成、分量、切り口などは今後少しずつ工夫・改善をして変化をしていく予定です(フィードバック、感想、ご意見も歓迎です🙇♂️🙂)。基本的には1週間を振り返り、それまでにTwitter、Linkedin、ブログ(note& Medium)に書いたことをまとめる形で配信できたら、と考えています。よろしければぜひお付き合いください。
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では、よい週末をお過ごしください🙂
市川裕康
株式会社ソーシャルカンパニー
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