こんにちは。
「Climate Curation」というタイトルでこれからニュースレターを新しく始めることにしました。2021年中旬頃から自然災害が世界中で起きていること、メディアでの気候変動、脱炭素等に関する報道が急速に増える様子を見ながら、これはとても大きなことが起きているのではないか、という思いが強くなったことがきっかけです。
今までSubstackに登録してくださった方、そして私の今までの関心領域(海外のメディアトレンド、Social Good等)を知っていただいていた方の中には、期待していた内容と異なると感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、自分の中では延長線上にあるテーマで、今まで以上にメディア視点、海外の動向・トレンド調査の視点を活かして、みなさんにとってお役に立つ情報を発信できたらと思ってます。よろしければどうぞお付き合いいただけたら幸いです。
いざ「気候変動」・「脱炭素」と言われても、言葉を目にする機会は増えたと感じながらも、あまりに広範囲だったり、専門用語が多かったり、また、スケールが大きく、全体像を描きにくいと感じる人も多いのではないでしょうか?
私自身も約半年前から興味を持ち始め、ニュース報道や書籍を読んだりしながら気にはかけているものの、その複雑さに日々圧倒されることも少なくありません。
例えば気候科学、金融、政治、地政学、ビジネス、エネルギー、テクノロジー、メディア、個人の生活スタイル、アクティビズム等、様々な分野の知識や知見が求められることも多く、知の「総合格闘技」とすら感じます。そこに国、地域ごとの異なる状況を踏まえると、ほんとうに頭がくらくらしそうになります。
とはいえ、知れば知るほど、世界中で様々な問題があることを知り、あらゆる地域、分野で新しいイノベーションが生まれていて、その重要性、面白さ、可能性が溢れているテーマであるとも感じています。
こうしたリサーチをする中で感じるのが、気候変動問題がグローバルなテーマであることから、世の中で起きている事象、ニュースがグローバルであり、主に英語での情報源が圧倒的に多く、言語の壁があることでタイムリーに国内にそうした重要が十分に届けられてないのではないか、という問題意識を持つに至りました。
そんな背景、視点から、今後このニュースレターでは、当面週に1回(金曜日)に、その週に話題になった国内外のニュースをいくつかピックアップして、箇条書きスタイルでその概要をお伝えできたら、と考えています。ただでさえ専門用語や難しい技術に関する内容であったり、遠い国の出来事で自分ごとになりにくいテーマゆえ、できる限り「自分ごと化」しやすいトピック、切り口でご紹介できたらと考えています。
今週のClimate Curation トピックス:
【1】米ビジネス誌『FastCompany』が選ぶ「最も革新的な企業」の上位7位全てが気候テックスタートアップ (COMEMO投稿記事)
米ビジネス誌『FastCompany』が2008年から毎年選出している「Most Innovative Companies 2022」の選出企業が3月上旬に発表されました。驚いたことは上位7位の全ての企業が気候テックスタートアップ、クライメートテックとも呼ばれる気候変動問題に取り組む企業であることです。以下は選出された上位企業の一覧です(詳細は記事をご覧ください)
Stripe (Climate)〜大気中の二酸化炭素除去市場の創出
Solugen〜遺伝子組み換え生物を使ったカーボンニュートラルな化学物質の製造
Twelve〜化石燃料に依存しない化学物質の開発
BlocPower〜全家庭に電化の機会を提供
Climate Trace〜国別排出量データの把握
Watershed〜企業の二酸化炭素削減支援
Doconomy〜ライフスタイルコスト算出
【2】米タイム誌が選ぶ「最も影響力のある企業100」の100社のうち、Climatetech、気候変動・サステイナビリティに積極的に取り組んでいる21社が選出
Time誌が2021年にスタートした「最も影響力のある企業 100」という企画の第2回目となる2022年版のリストが3月30日に公開されました。100社の中にはGoogle、Amazon等の著名企業も含まれてますが、「Climate」のレンズを通して眺めてみることで、二酸化炭素排出削減やサステナビリティを商品やサービス開発の中心に据えた革新的な企業が21社もあることが伺えます。
以下、企業名と簡単な業務分類を添えてリストしてみました。
Green Mountain Power(再生可能エネルギーによる「マイクログリッド」システム)
Redwood Materials(リチウムイオン電池等のEV用部品リサイクル)
Trek Bicycle (自転車製造・出荷時の炭素排出量開示のサステ ナビリティ・レポートを世界で初めて発表した自転車メーカー)
BlocPower(住宅の電化推進事業)
Maersk(グリーンメタノール燃料等によりカーボンニュートラルを推進する大手海運会社)
Ford(電気自動車〜F-150ライトニング)
IBM(人工知能を活かした企業の気候危機のナビゲーション支援)
BYD(電気バス、フォークリフト、衛生車両、鉄道システム、バッテリー等EV製造以外にも強み)
Alaska Airlines(効率的なルートをプロットするAIソフトウェア「Flyways」を導入)
EV Connect (米国とカナダでEV充電ステーションを6万基運営)
Impossible Foods(未上場代替肉製造・開発〜2021年の小売売上高は前年比85%増)
Orsted(米国で2番目の大規模洋上風力発電プロジェクトであるSouth Fork Windを開発中)
Rivian(電気自動車)
Climeworks(アイスランド発世界最大の二酸化炭素直接回収プラント(年間約4,000トン))
NoTraffic(AIとクラウド接続のレーダーを活用した効率的な信号機開発)
Joro(クレジットカード利用額から二酸化炭素排出量を自動的に推定するアプリ開発)
Allbirds(生産時の温室効果ガス排出を削減したスニーカーブランド)
Engine No. 1(設立後1年半で、わずか1,250万ドルを投じてエクソン社の気候変動対策を推進し、取締役会の候補者として3つの議席を獲得したアクティビストファンド)
Opibus(ケニア製電動バイクタクシーによるクリーンな交通手段構築)
CATL(世界最大のEV用電池サプライヤー。海水から安価に原材料を抽出できるナトリウムイオン電池を開発)
Too Good To Go(17カ国・5400万人のユーザーを持つ食料品店やレストランのフードロスを目指すアプリ)
【3】求められる気候リスク、温暖化ガス排出量の計測・可視化の動き(COMEMO投稿記事)
気候リスク、温暖化ガス排出量の計測・可視化を求める声が世界中で高まっています。国内では4月の東証プライム市場設置を控えた気候リスク開示の必要性が目の前に迫り、アメリカではSEC(米国証券取引委員会)が先週3月21日に上場企業への気候変動リスクの開示を求める新ルール案を提案し、大きな流れの変化が感じられます。(詳細は記事をご覧ください)
世界中で現在進行形で進んでいる大きな動きとして今後も関連報道が増えると思いますが、「TCFDとは」(=気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の略称)等について、改めて認識を深める必要性がありそうです。[日本経済新聞(2022/4/1)]
【4】今週気になった動画
2019年に82.6%にリサイクル率を達成し、ごみを27種類に分別されているという、人口およそ13,000人の鹿児島県大崎町の取り組みが国連公式YouTubeで紹介されてます。海外に向けた日本発の取り組みとしてもとても注目したい、誇らしい事例、と思いました。27種類とまではいかなくとも、ゴミの分別は日々の生活でも心がけてみたいですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は以上となります。ニュースレターの構成、分量、切り口などは今後少しずつ工夫・改善をして変化をしていく予定です。基本的には1週間を振り返り、それまでにTwitter、Linkedin、ブログ(note& Medium)に書いたことをまとめる形で配信できたら、と考えています。よろしければぜひお付き合いください。
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いずれSlack等を利用して気候変動・脱炭素について興味を持っている人同士で情報交換、ディスカッションができるコミュニティのようなものにも挑戦したいと思ってます。そちらはまた追ってご連絡させていただきます。ご感想、コメント、フィードバック等ありましたらどうぞお気軽にコメント欄にご記入ください。
2022年4月の新年度、みなさんがよいスタートができていることを心より願ってます🙂🤞
市川裕康
株式会社ソーシャルカンパニー
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