「地球温暖化の時代」から「地球沸騰の時代」に?
こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在450名を超える方に購読頂いてます。
せっかくの夏休みの季節ではありますが連日の猛暑日が続いてますね。お元気でお過ごしでしょうか?私はあいにく今週体調を崩してしまったこともあり、静養中です。先日参加したイベントのレポートも、と思ったのですが、今回は気になった記事10本のご紹介のみとさせてください。一つでも何かのヒントとなったり、お仕事や日々の生活に役立てていただけたら嬉しく思います。
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】7月は史上最も暑い月に 国連総長は「沸騰化の時代」と警告 [7/28 BBCニュース]
世界中の猛暑日が続く状況に関する報道が今週も引き続き多く話題になってます。様々なデータやチャートを見て、そして外で感じる日差しや体感温度を通じ、気候変動問題に思いを巡らせている人も多いのではないでしょうか。
【2】7月の欧州・北米の熱波、温暖化なしに起こりえず 国際研究チーム [7/25 朝日新聞]
今月、欧州や北米を襲った熱波について、異常気象を分析する国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」(WWA)は25日、地球温暖化がなければ計算上は起こりえない現象だったとする結果を発表した。今月の中国の熱波についても、気候変動によって少なくとも50倍発生しやすくなっていたという。
【3】猛烈な熱波 12万年で1番暑い夏/“臨界点”超えで始まる気候変動とは? [7/25 報道1930 / BS-TBS]
猛暑と気候変動との関連性について詳しく掘り下げる記事やテレビ番組は依然少ない印象ですが、BS放送の番組等では専門家を招いて議論が行われています。以下はBS-TBSの「報道1930」において以下のゲストを招いての議論が長尺で行われてます。
・井上信治氏(自民党幹事長代理、党環境・温暖化対策調査会長)
・斎藤幸平氏(東京大学大学院 総合文化研究科准教授)
・江守正多氏(国立環境研究所・地球環境研究センター副センター長)
【4】気候変動やテクノロジーがもたらす未来予測を映像化した新作ドラマ『エクストラポレーションズ〜すぐそこにある未来』 [3/29 note/日経COMEMO]
このタイミングでぜひご紹介したいのは今年3月にアップルTV+で配信開始されたドラマシリーズ、「エクストラポレーションズ〜すぐそこにある未来」です。気候科学者が監修をしていることもあり、気候変動がもたらしうる未来予想図を具体的に視覚化して感じることができるのではと思われます。よかったら夏休みの視聴映画候補としてぜひご覧になってみてはいかがでしょうか:)*国内ではほとんど告知されてないようで、この作品を観たという方にまだ一人も会ったことがありません(苦笑)。
「エクストラポレーションズ」は、気候変動が深刻な影響をもたらす2037年から2070年までの33年間に起こりうる物語を綴る形で構成されています。場所は海面上昇が深刻になるマイアミ、熱波の影響が深刻なムンバイ、2037年に第42回のCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)が開催される設定となっているテルアビブ、その他ロンドン等が舞台となってます。
気候変動対策を呼びかける活動家、アマゾンとグーグルを足したような巨大テクノロジー企業のCEOでイーロン・マスク氏を彷彿とさせる経営者、シナゴーグのラビ、絶滅動物の保護に取り組む研究者、気候を人工的に操作するジオエンジニアリングに取り組む科学者等、SFのような、それでいて現実的に将来登場しそうなキャラクターたちがオムニバス形式で登場します。ドラマの中では、起こりうるかもしれない未来の姿が洗練された映像を通じて描かれています。
【5】「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」が閣議決定されました [7/28 経済産業省]
全28ページに渡ってGX推進戦略の具体的な内容が記されてます。目を通しておきたい資料と感じたので共有させていただきます。早速WWF(世界自然保護基金)のウェブサイトでは『【WWF声明】脱炭素化への変革を示せていないGX推進戦略の閣議決定に抗議する』と題した記事も掲載されてます。また先週のエコノミストでは「GX特集」を掲げ、大きく取り上げられています。
【6】Japan Is Trying to Use Ammonia to Make Coal Cleaner (日本は石炭をよりクリーンにできると発表。批評家はその計画は「ほとんど不可能だ」と言う。日本は、ボイラーで石炭にアンモニアを混ぜることで、石炭を地球へのダメージが少ないものにできると言っている。しかし、この技術には多くのハードルがある。)[7/22 New York Times]
日本のアンモニア混焼を通じた石炭排出削減への努力が批判にさらされている、とニューヨーク・タイムズの記事。この技術が化石燃料への依存を延長し、二酸化炭素排出量を増加させる可能性があると指摘する一方で、地理的な孤立や厳しい気象条件などの障壁が再生可能エネルギーへの迅速な転換を困難にしていることも紹介されてます。
【7】「地上資源」でNY証券取引所上場へ! 世界中の企業が提携を求める「希望の星」 JEPLAN [7/25 Forbes Japan]
「あらゆるものを循環させる」をビジョンに掲げ、独自のPETケミカルリサイクル技術を用いたものづくり、事業開発や技術ライセンスの展開を推進することで、限りある資源の循環を目指すJEPLAN社。年内にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場見通しと言われている同社についての巻頭特集記事が掲載されてます。*dマガや楽天マガジンで閲覧するとお得です。今月号ではJEPLAN社以外にも数多くの気候関連のスタートアップが紹介されてます。
昨年11月に放映された「ガイアの夜明け」(テレビ東京)でもJEPLAN社のことが取り上げられてます。サーキュラーエコノミーとはこういうことか、と改めて感じることができました。またペットボトルを捨てる時にはラベルやキャップを取るということがもっと当たり前として広がっていくが大事、と感じます。
【8】農地の脱炭素、衛星データで証明 技術で農家の増収導く [7/27 日本経済新聞]
農業と環境の課題解決に取り組む「インパクトスタートアップ」として岐阜大学発スタートアップのサグリ社のことが紹介されてます。温暖化ガスの排出減につながる農地利用を人工衛星データで確認し「カーボンクレジット」の創出につなげたり、国内では稲作農家のメタン削減、アジア・アフリカなど海外では化学肥料の削減を通じたクレジット獲得を目指す取り組みが描かれてます。
【9】Climate Tech Day 2023レポート記事・アーカイブ動画
6月25日に東京大学で開催されたイベント、「Climate Tech Day」の当日のレポート、アーカイブ動画が一部公開されてます。私も当日参加する機会を得たのですが、たくさんの学びや気付きを得ることができ、同じような興味を持っている多くの方との交流の機会となりました。
・人類の課題を解決し、莫大な利益を得るClimateTechの可能性──起業家と東大理事・副学長が語る [7/26 Biz/Zine]
・東大教授とVC投資家が語る、ClimateTech繁栄のカギを握る「領域の横断・参入の勇気」とは? [7/25 Biz/Zine]
【10】尾川真一さん(スタンフォード大学客員研究員 )が「Climate Tech News」(https://ctjpn.com)をスタート
福岡のテレビ局で報道記者として7年間の勤務を持ち、2022年からはスタンフォード大学に留学し、クライメイトテック(Climate tech)と社会起業家についての研究をされている尾川真一さんが新しいニュースサイトを立ち上げられました。
アメリカ、シリコンバレーの気候変動関連のスタートアップ(Climate tech)の最新情報を日本語で発信することで、情報格差をなくし、日本でのClimate techの認知と理解を深めることを目指されているとのことです。私も同じ問題意識でこのニュースレターを配信していることもあり、とても共感しました。今後の更新を楽しみにしています!
【*7/25 配信の英語ニュースレター 「Japan Climate Curation」(購読者数1,593人)より】
・Winners of the US's climate law, the increase of funds and CVCs by major Japanese companies, and Japan's bet on "clean coal" [7/18 - 7/24 Linkedin/5月からSubstackでも配信中:(購読者数124人)]
日本国内で起きている気候変動・脱炭素関連に関して、英語で書かれているニュース・トピックスを毎週火曜日に10本程度配信しています。Substackでも購読が可能になりました。引き続きどうぞよろしくお願いします。
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋♂️
市川裕康
株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
Twitter: @SocialCompany
英語版ニュースレター「Japan Climate Curation」(Linkedin)📬