こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在450名を超える方に購読頂いてます。
お盆休みはいかがお過ごしですか?ハワイの山火事被害や国内の台風等、気候変動のもたらす影響を感じさせる出来事が続きますね。今週も10本の記事をお届けしますが、後半は今後に期待がかかるスタートアップや技術の話題を選んでみました。ワクワクや希望をお届けできたら幸いです☺
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】山火事の街で感じた無力さ 温暖化最前線、カナダを歩く [8/12 日本経済新聞]
気候変動、地球温暖化が目に見える形で甚大な被害や影響を世界中で及ぼしていると感じる機会が増えています。国内の台風、中国北部の豪雨、ハワイやカナダでの山火事等、報道の中で気候変動との関連が直接言及されてなくとも、その映像を目にして考えさせられることが多いと感じます。
【2】気候変動のコスト、対策遅れると最大「3京2600兆円」…生物多様性の損失など換算 [8/6 読売新聞]
映像のみならずこうした気候変動によるコストの試算についての研究論文も発表されてます。2010~99年に世界で気候変動にかかる対策費や被害額の総費用は46兆~230兆ドル(6,500兆~3京2,600兆円)に上るとの推計結果を、東京大の沖大幹教授らのチームがまとめたとのこと。
【3】化石燃料産業が知られたくないこと(What the Fossil Fuel Industry Doesn't Want You To Know) アル・ゴア氏 [8/8 TED Countdown]
7月に行われたTED Countdownイベントでのアル・ゴア元米副大統領のスピーチは公開後5日程度で約50万回視聴され、SNS上でも数多く言及されてます。国内においては石炭火力を今すぐ撤廃することは現実的に難しい状況があることもあり、「過激」に聞こえる部分もあるかもしれません。が、グローバル文脈でこうした議論が広く共有されているという点で理解しておくべき視点なのでは、と感じてのご紹介です。YouTubeの日本語自動翻訳機能もとても進化していてありがたいです。
【4】8つのチャートで見るアメリカ人の気候変動に対する考え方(Americans’ views of climate change in 8 charts) [8/9 Pew Research Center]
米調査機関である ピュー・リサーチセンターの最近の調査において、アメリカ人の気候変動に対する考え方が示されてます。
アメリカ人の過半数が再生可能エネルギーの開発を優先することを支持している。
アメリカ人は化石燃料の完全廃止には消極的だが、若年層は前向きである。31%が化石燃料を完全に廃止し代わりに自然エネルギーに頼ることを支持。若年層(18-29歳)は48%の支持。
国民は、連邦政府が風力や太陽エネルギーの生産にインセンティブを与えることを支持している。
アメリカ人は、企業や連邦政府を含む複数の主体が、気候変動の影響に対処するためにもっと努力する余地があると考えている。
民主党と共和党は、気候変動がもたらす脅威に対する評価において、過去10年間でさらに隔たりが大きくなっている。民主党層の78%が大きな脅威と認識(2013年の58%から上昇)共和党層は23%で10年前とほぼ同じ
気候変動は、アメリカ人にとって他の国家的課題よりも優先順位が低い(17位)。
気候変動による地域社会への影響についての認識は、アメリカ人の政治的所属や、気候変動が深刻な問題であると考えるかどうかによって異なる。
米国人の約4分の3が、気候変動の影響を軽減するための国際的な取り組みへの米国の参加を支持している。
【5】2024年の選挙が気候変動技術スタートアップを複雑化させる(2024 elections complicate climate tech startup investing) [7/31 Axios]
インフレ削減法 (IRA) は気候テックセクターを大いにサポートしているものの、2024年の米大統領選挙はClimate Tech 投資家の間で分裂を引き起こしているとのこと。民主党は支持的である一方、共和党の反対は不確実性を生む可能性があるため、IRAの廃止後の準備をするか、或いは継続的な共和党のサポートを信頼するかのどちらかと報じられてます。
【6】共和党の2024年気候戦略:掘削を増やし、クリーンエネルギーを減らす(A Republican 2024 Climate Strategy: More Drilling, Less Clean Energy) [8/4 The New York Times]
かつてトランプ政権で政策を担当した閣僚らを含む保守派が900ページ以上からなる戦略プラン「Project 2025」が既に策定され、気候変動対策を逆行させることが目指されてます。パリ協定からの脱退、エネルギー省の融資プログラムの廃止等の計画はクリーンエネルギーを軽視し、化石燃料の使用を増加させることを支持しているとのこと。来年秋の大統領選に向けて気候変動政策やClimate Techセクターへの投資にも影響がありそうです。以下のPBSの動画では背景や現状分析について詳しく報じられてます(*自動翻訳の字幕付)
【7】核融合発電に対する期待・可能性、そしてメディアでの注目の高まり
・核融合発電で「エネルギー純増」 米研究所、実験再成功 [8/8 日本経済新聞]
・実現なるか核融合発電 [8/10 日本経済新聞]
・「核融合」で、日本のエネルギー問題は救えるか [8/7 NewsPicks Horie One]
・核融合とは何か(What is nuclear fusion?) [8/7 The Economist]
先週は米国のローレンス・リバモア国立研究所での核融合発電の実験の2回目の成功というニュースにあわせて、数多くのメディアでも注目が高まっているようです。解説コンテンツも増えてきて少しずつ理解が深まり、期待が高まります。
【8】大気中のCO2回収に12億ドル 米政権、大規模施設2カ所 [8/12 共同通信]
・米国、温室効果ガスを空から吸引する12億ドルの取り組みに資金提供へ(U.S. to Fund a $1.2 Billion Effort to Vacuum Greenhouse Gases From the Sky)[8/11 The New York Times]
上記のアル・ゴア氏のTEDトークではまだ初期段階の技術で化石燃料の延命につながると批判されているものの、2050年ネットゼロを実現するためには重要な技術であるとして期待も集めている直接空気回収(DAC:Direct Air Capture)事業に12億ドルの政府支出との報道。実現すれば世界最大規模の施設となることが期待されているそうです
米バイデン政権は11日、気候変動対策として大気中から二酸化炭素(CO2)を回収する大規模施設に最大12億ドル(約1700億円)を拠出すると発表した。直接空気回収(DAC)への投資として空前の規模という。ルイジアナ州とテキサス州に置く計2カ所の施設を合わせ、ガソリン車44万5千台の年間排出分に相当する年200万トンの回収を目指す。
国内でも先日「大気中からCO2を直接除去する革新的な吸着剤と回収装置の開発」に取り組むPlanet Savers 株式会社が設立されたとのこと、日本独自の技術が活かされることを期待しています。
【9】超DXサミット2023 (Super DX/SUM2023) スタートアップ投票〜活躍が期待される 気候テックスタートアップ [受付期間:2023年8月16日(水)迄]
日経新聞社が主催するイベント、超DXサミットでは「活躍が期待される気候テックスタートアップ」を選出するオンライン投票が行われてます。5つのカテゴリー(気候変動・脱炭素、新エネルギー、アグリ・フード、リサイクル・環境負荷低減、データ利活用)で合計27社がエントリーしてます。まだ聞いたこともないスタートも数多くありますが、全てのエントリーで3分程度の紹介動画が用意されていて、新しい注目スタートアップと出会う、よい機会になりそうです。
【10】日本の美味しいが最強だ [8/7-11 NewsPicks]
日本が誇る食文化と技術を深掘りして動画ドキュメンタリーでまとめられた特集企画「日本の美味しいが最強だ」は、おなじみドン・キホーテの世界戦略から海藻、大豆、養殖、寿司スクールまで、驚きとともに期待がぐんぐん高まる痛快コンテンツでした。気候変動の暗い側面で気落ちしそうな時にはこうした明るい起業家のパワーと技術のポテンシャルに励まされます。
【*8/8 配信の英語ニュースレター 「Japan Climate Curation」(購読者数1,624人)より】
The potential and obstacles of offshore wind power, a biotech startup to ‘brew’ greener fashion, and growing rice exports [8/1 - 8/7 Linkedin/5月からSubstackでも配信中:(購読者数131人)]
日本国内で起きている気候変動・脱炭素関連に関して、英語で書かれているニュース・トピックスを毎週火曜日に10本程度配信しています。Substackでも購読が可能になりました。引き続きどうぞよろしくお願いします。
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、どうぞよいお盆休みをお過ごしください🙂🙋♂️
市川裕康
株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
Twitter: @SocialCompany
英語版ニュースレター「Japan Climate Curation」(Linkedin)📬