こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在450名を超える方に購読頂いてます。
こんにちは今回は夏休み企画として少し映像・ポッドキャスト・書籍の紹介を中心にご紹介です。今週のニュースとしては米史上最大の気候変動対策法案であるインフレ抑制法の1周年、モンタナ州の気候変動訴訟での若者による原告の勝訴、気候変動SF小説「The Ministry for the Future」の邦訳『未来省』出版が印象に残るトピックでした。
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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】米国政府「企業の米国投資16兆円」 インフレ抑制法1年 [8/17 日本経済新聞]
米政府が気候変動対策などに巨額補助金を投じる「インフレ抑制法(IRA)」の成立から16日で1年がたった。米政府は同日、この1年間で企業は米国へ計1100億ドル(約16兆円)以上の関連投資を発表したと明らかにした。
IRAは気候変動対策やエネルギー安全保障に3690億ドルの補助金を確保した。受給を見込んで、既に企業は投資拡大に動いている。米政府によると企業は電気自動車(EV)関連で700億ドル(約10兆円)超、太陽光発電で100億ドル(約1.45兆円)超の新規投資を公表した。
【2】Inside the $220bn American cleantech project boom (2,200億ドルのアメリカのクリーンテック・プロジェクト・ブームの内幕) [8/16 Financial Times]
フィナンシャル・タイムズの記事ではインフレ抑制法に加え昨年8月9日に成立した「CHIPS・科学法」と併せて2,240億(約31.7兆円)ドルの資金を投入し、米国で10万人の雇用を創出したとして数多くのチャートとともに詳報してます。
興味深いのが民間企業も含めた投資先の8割が共和党支持基盤が強い州に集中していることです。広大な土地や資源がある地域が該当しているという点ももちろんあるものの、2024年の大統領選に向けた対策という狙いも伺えます。その他意外だったのが国別の投資額で韓国が首位にある点です。また、バッテリー、風力、太陽光などの再エネのサプライチェーンにおいて、現在、そして2030年の予測においても中国が7割ほどを占めている点も気になる点でした。
【3】「インフレ抑制法」と「CHIPS・科学法」がもたらす民間投資や雇用創出をリアルタイムでトラッキングしているサイト(エネルギー・イノベーションの政策アナリスト、ジャック・コネス氏が運営)を見るとこうした法案のもたらすインパクトをを今後もチェックできます。日本でも経済産業省で「企業行動と投資促進政策に関する研究会」が設立され、「諸外国における投資促進政策の状況」等の資料が公開されてます。
【4】気候変動、Climate Techに興味を持っている人の間で必読の気候変動SF小説「The Ministry for the Future)」の邦訳『未来省』が9月19日にパーソナルメディアから出版
この小説は今まで何度となく読むことを推薦され、洋書で読もうとしたものの、600ページ近いボリュームと専門的な情報がところどころに散りばめられていて最後2〜3割を残して挫折してしまっていた一冊です。改めてぜひ読んでみたいと思います。読書会のようなものも開催できたら楽しそうですね。ジャーナリストでニュースサイトVox共同設立者であるエズラ・クライン氏は「もし私が各国の政治家や国民に今年1冊だけ本を読んでもらえるとしたら、それはキム・スタンリー・ロビンスンの『The Ministry for the Future』だ」とポッドキャストでも絶賛してますし、過去のTEDイベントでは10分ほどの読み語りで「気候変動を振り返る―2071年からのメッセージ」と題して概要が紹介されてます。
(*邦訳出版のことはニュースレター読者の竹内さんに教えていただきました。ありがとうございました!)
【5】気候変動に関するストーリーテリングの大切さ〜人気ポッドキャストZeroで3回に渡って特集
気候変動問題の全体像を理解する上でもっと注目が集まってもよいのでは、と感じるのがストーリーテリングの分野です。BloombergのポッドキャストZeroでは、先述の『未来省』、石油産業や環境に関する懸念を深く掘り下げる老舗ポッドキャスト『Drilled』、気候変動を描くSFドラマシリーズ『エクストラポレーションズ:すぐそこにある未来』(アップルTV+)の制作者のインタビューシリーズを3回に渡って配信しています。今年の夏の作品としてぜひ機会があれば観たり、読んだり、聴いたりしてみてはいかがでしょうか:)
・How a Utopian Sci-Fi Author Writes Toward a Low-Carbon Future(ユートピア的SF作家はいかにして低炭素の未来に向かって書くか?)
『未来省』(TheMinistry for the Future)著者キム・スタンリー・ロビンソン氏
・Inside the industry that made climate denial work(気候変動を否定する業界の内幕 )
人気ポッドキャスト 「Drilled」ホスト、エイミー・ウェスターベルト氏
・Why Hollywood A-listers are rushing to star in climate shows(ハリウッドの大物俳優が気候変動番組への出演を急ぐ理由)
気候変動を描くSFドラマシリーズ『エクストラポレーションズ:すぐそこにある未来』(アップルTV+)エグゼクティブ・プロデューサー、ドロシー・フォーテンベリー氏
・気候変動やテクノロジーがもたらす未来予測を映像化した新作ドラマ『エクストラポレーションズ〜すぐそこにある未来』 [3/29 COMEMO /note]
【6】気候変動訴訟で原告の若者勝訴 モンタナ州、米国で初 [8/15 日本経済新聞]
今週注目のニュースとして外すことができないのはこちら。画期的な気候変動訴訟として広く報じられてます。
米西部モンタナ州の地方裁判所は14日、州政府による化石燃料の資源開発における温暖化ガス排出量の調査を制限する州法がモンタナ州憲法に違反すると判断した。米国で州憲法に基づいた環境権を訴える原告側が勝訴するのは初めてだ。
背景をより深く知る上で以下のコラム、そしてネットフリックスのドキュメンタリー映画などもとても参考になります。
・24色のペン:ノーベル賞作家の恋が残した憲法=八田浩輔氏(NY支局)[8/15 毎日新聞]
・Youth v Gov: 私たちの気候変動訴訟 [2022/3/31 Netflix] *Juliana v. United States 訴訟(2015年、アメリカ合衆国にて提訴)8歳から19歳の未成年21名が、環境保護団体と共に自ら原告となり、アメリカ連邦政府を訴えた訴訟。
【7】「沸騰する地球」特集企画 [日経ニュース プラス9]
8月も後半になり、暑い夏を振り返りながらいま起きていることを掘り下げようとする番組も少しずつですが増えつつあるように思います(BSではありますが)。北極・南極の状況、日本の漁獲高の「激減」ぶりに驚かされます。
・「沸騰する地球」第1夜 “地球のクーラー”北極・南極が危険水域に!? [8/17 日経ニュース プラス9]
・「沸騰する地球」第2夜 サバもイカもとれない! 日本ばかり漁獲高減少のワケとは [8/18 日経ニュース プラス9]
【*8/8 配信の英語ニュースレター 「Japan Climate Curation」(購読者数1,636人)より】
Ammonia-Coal "Innovations," Japan's EV Challenge, and Fukushima's Treated Water [8/8 - 8/14 Linkedin/5月からSubstackでも配信中:(購読者数136人)]
日本国内で起きている気候変動・脱炭素関連に関して、英語で書かれているニュース・トピックスを毎週火曜日に10本程度配信しています。Substackでも購読が可能になりました。引き続きどうぞよろしくお願いします。
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
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市川裕康
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