こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在Substackにおいて510名を超える方に購読頂いてます。先日新しくスタートしたLinkedinのニュースレターでは既に860名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】2023年は「ほぼ確実に」史上最も暑い年に、10月も最高気温を更新 [11/10 BBC]
2023年が観測史上で最も暖かい1年になることが「ほぼ確実に」なったことが、最新のデータで明らかになった。今年は熱波や洪水、森林火災で多くの死者が出た。
欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスによると、今年10月の世界平均気温は、これまでの最高記録(2019年)より0.4度高かった。
世界平均気温が更新されるのは5カ月連続で、炭素排出やエルニーニョ現象が原因とみられている。
研究者らは、世界的な高気温は2024年も続くとみている。
【2】オーストラリア、気候変動理由にビザ発行へ 壊滅被害のツバル国民に [11/10 BBC]
オーストラリア政府は10日、気候変動による壊滅的な被害を受けているツバル国民にビザを発行する画期的な協定に合意した。
太平洋の環礁と島々からなるツバルは、気候変動による海面上昇の危険にもっともさらされている国の一つ。人口は1万1200人で、気候変動に対してより大きな対策を取るよう、繰り返し世界に訴えてきた。
オーストラリアの公共放送ABCによると、同国が気候変動を理由に外国人に居住許可を与えるのは、今回が初めてだという。
【3】脱炭素で新たな国債 補正予算案で住宅の省エネ対策など支援 [11/7 NHK]
今年度の補正予算案に脱炭素社会の実現に向けた投資促進策を盛り込むことが報告されました。具体的には、住宅の省エネ対策として断熱性の高い窓の導入のほか、EVに欠かせない蓄電池や、電力を効率よく動力に変換する次世代のパワー半導体の生産設備の整備などに対する支援策が盛り込まれるということです。岸田総理大臣は「断熱窓への改修や高効率の給湯器など、生活の快適さと家計の負担軽減につながるような投資を集中的に進めていく。今後3年間で2兆円規模の支援策を講じ、暮らし関連部門での民間事業者の積極的な投資を呼び込む」と述べました。
【4】エネルギー専門家が語る、日本の水素戦略の危うさ - 発電や自動車分野での利用は失敗の可能性大 [11/8 東洋経済オンライン]
"水素エネルギーは製造・輸送コストが高く、物理的特性により取り扱いが難しい。環境面では、水素の使用が窒素酸化物の発生を引き起こすリスクがある。
特定の分野(船舶、航空、製鉄、長期貯蔵)では有効だが、日本のような国では再生可能エネルギーの利用拡大がより重要。"
*話題の水素について、注目が集まる分、その活用法に関しても様々な意見や考えた方があると思われます。ポスト石油研究所の大場紀章さんは上記マイケル・リーブライク氏の講演イベントでも登壇された方で、YouTubeでその時の感想、そして水素政策の歴史等が詳しく解説されてとても分かりやすかったのでご紹介です↓。
【5】In a U.S. First, a Commercial Plant Starts Pulling Carbon From the Air(米国初、商業プラントが空気中の炭素の回収を開始〜この技術は高価だが、気候変動との戦いに役立つ可能性がある。支援者たちは、急成長によってコストが下がることを期待している。)[11/9 New York Times 🎁Gift URL ]
"Heirloom社は空気中から二酸化炭素を取り出し、そのガスをコンクリートの中に永久に封じ込め、地球を温めることができないようにする。収入を得るため、同社は炭素除去クレジットを、自社の排出量を相殺するためにプレミアムを支払う企業に販売している。マイクロソフトはすでに、大気から31万5000トンの二酸化炭素を除去する契約をHeirloom社と結んでいる。
木曜日にオープンするカリフォルニア州トレイシーにある同社初の施設は、かなり小規模なものだ。この工場が吸収できる二酸化炭素の量は、最大で年間1,000トンで、これは自動車約200台分の排気ガスに相当する。しかし、Heirloom社は急速に拡大することを望んでいる。"
【6】Big Promise, Little Success: The Precarious State of Carbon Capture (大きな約束、小さな成功:炭素回収の不安定な現状) [11/9 Boomberg]
CCS(カーボン・キャプチャー・ストレージ)はネットゼロ排出量達成の鍵と見なされていますが、高いエネルギー使用と化石燃料需要の増加による懸念があります。ノートルダム大学エミリー・グルバートは、CO2排出削減が困難な産業(Hard-to-Abate産業)セクターでのCCSの戦略的応用を呼びかけ、CCSプロジェクトにおける石油会社の役割を再考することを提案しています。
*今年の国連気候会議(COP28)が石油に依存するアラブ首長国連邦で開催されるということもあり、炭素回収技術にも注目が集まっているようです。
【7】【超入門】なぜ、一流企業はカーボンクレジットに本気なのか [11/8 NewsPicks]
脱炭素時代の新しい「新教養」という印象の「カーボンクレジット」について、NewsPicks地球支局のみなさんが今週もPodcastとインフォグラフィック記事を通じてとても分かりやすく紹介してくれています。紹介されていた書籍『排出量取引とカーボンクレジットのすべて 』(野村総合研究所 )』も参考になりそうです。
【8】気候変動に関する世論調査(令和5年7月調査) [11/10 内閣府&環境省]
公表された気候変動に関する世論調査、様々なメディアで結果について紹介されてますが、見出しを見るとそれぞれ切り口が異なり興味深いです。
内閣府の世論調査「脱炭素社会」“知っていた”は8割超に増加 [11/11 NHK]
気候変動、若者28%無関心 内閣府が世論調査 [11/10 共同通信]
気候変動で政府世論調査 「食料不安」が最多 農産物への“打撃”問題視 [11/11 日本農業新聞]
私が個人的に気になったのは若年層の無関心層が多いことと、調査手法です。調査は今年7~9月に郵送形式で実施され、全国の18歳以上の約1,500人が回答とのことですが[郵送経由:1,057人 / インターネット経由:469人]、回答数を見ると18歳から29歳の若年層が116人ととても少なく、50代以上が974人と全体の63%を占めていることが伺えます。比較的気候変動問題に意識が高いと言われている若年層の声が正確に反映されてないのでは、と感じます。その他の調査項目や調査結果を見るにつけ、残念ながら「?」と感じることが多かったです。
【9】映像の世紀 バタフライエフェクト 地球破壊 人類百年の罪と罰 [11/6 NHK / NHK+ 見逃し配信期限 :11/13(月) 午後10:44迄 ]
レイチェル・カーソン氏、ジェームズ・ハンセン氏の貴重な映像や気候変動対策への懐疑論、日本の公害対策まで、気候変動・地球温暖化の100年分の歴史がびっちり詰まっていてとても興味深かったです。
産業革命が進み大量の石炭を燃やし続けて生じたロンドンの「黒い霧」。自動車の爆発的な普及によって深刻なスモッグに苦しむ街となったロサンゼルス。高度経済成長期の日本で起きた公害。そして地球温暖化による気候変動。豊かさと引き替えに、私たちは地球に取り返しがつかないほどのダメージを与えてしまった。これまで何度となく繰り返されてきた自然からの警告に、人類はなぜ目を背けてきたのか。百年の破壊の記録である。
【10】Climate Tech関連イベント - スタートアップ関連のイベント、カンファレンスが今週・来週は目白押しですが、数多くの気候テック関連のセッションも予定されてます。特にSTART UP EVERYTIMEの下記のセッションでは本ニュースレターでも過去にご紹介したことがある起業家・投資家が登場され注目です。現地で、或いは無料でオンライン視聴可能なセッションもあるので、興味のあるイベントに参加してみてはいかがでしょうか🙂
11/14-15 Startup JAPAN
11/14-15 Y-SHIP 2023 グリーン・トランスフォーメーション
1/21-22 START UP EVERYTIME
11/18 - 19 Climate Symposium 2023 [Harvard Business School]
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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