こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在Substackにおいて530名を超える方に購読頂いてます。先日新しくスタートしたLinkedinのニュースレターでは既に900名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。
Climate Curation Meetupを昨日12月16日(土)12:00-14:00に東京・新橋で開催し、合計12名のみなさんにご参加頂きました!ご参加頂いたみなさん、ありがとうございました🙇♂️🙂。様々な立場で気候変動・脱炭素の分野に興味を持ち、業務や業務外での活動を通じて取り組まれているみなさんから色々なお話を伺い、とても刺激的で楽しいひとときでした。「同じようなテーマに興味を持っている方同士の情報交換・交流の機会」の重要性を改めて感じ、開催してよかったと思いました。また折に触れて開催してみたいと思います!ということで今回は配信が日曜日になってしまいました。来週は年内最後の配信12/23を予定しています。
Climate Curation 2023年振り返り&2024年予測アンケートご協力のお願い
よかったらみなさんが感じた2023年の最も印象的で注目した気候関連のニュースと、2024年に注目・期待しているテーマを教えていただけないでしょうか?来週配信のニュースレターで結果を共有させていただきます。
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】COP28閉幕〜主要メディアの社説比較
11/30から12/13までドバイで開催されていたCOP28が閉幕ということで、国内外の大手メディアでは最終合意の評価、意味付け、交渉プロセスの背景等を詳しく紹介したコンテンツが掲載されてます。以下は各社の社説を中心に評価とコメントが述べられている記事をまとめてみました。全体的には『「歴史的」と評価する一方で抜け穴もあり、今後のアクションが大事』という論調が多いものの、各社それぞれの視点やスタンスを改めて横断的に見た上で、ニュアンスや差異を俯瞰的に見てみてはいかがでしょうか?
[社説]脱化石燃料の実現へ世界は一層の努力を[12/15 日本経済新聞]
(社説)COP28閉幕 化石燃料脱却を確実に[12/17 朝日新聞]
COP28閉幕 脱化石燃料の流れが強まった[12/16 読売新聞]
脱化石燃料の国際合意 実現に向け問われる行動[12/16 毎日新聞]
COP28閉幕 化石燃料並存は理に適う [12/7 産経新聞]
【社説】COP28の約束はまやかし〜化石燃料の段階的廃止という大言壮語を信じるな [12/14 ウォールストリートジャーナル日本版]
The Guardian view on Cop28’s final text: saying the right thing – and not a moment too soon / Editorial(COP28の最終文書に対する『ガーディアン』紙の見解:正しいことを言う、そして早すぎることはない〜今年の気候変動会議には、ドナルド・トランプがアメリカ大統領の座に返り咲くという不安がつきまとっていた。)[12/13 The Guardian]
【解説】 COP28の「大きな前進」 本当に気候変動に影響与えるのか [12/14 BBC日本版]
Climate talks at last lead to a deal on cutting fossil-fuel use - The historic agreement emerged only through bitter compromise (気候変動交渉、ついに化石燃料使用削減で合意 - 歴史的合意は厳しい妥協の末に成立)[12/13 The Economist/ 🎁Gift URL]
COP28: the new climate commitments that really count - Beyond the headline statement, three new pledges might cut demand for fossil fuels and eliminate potent emissions (COP28:本当に重要な気候変動に関する新たな約束 - 声明の記事タイトルを超えて。化石燃料の需要を削減し、強力な排出をなくすかもしれない3つの新たな約束)[12/16 Financial Times]
How the World’s First Deal to Ditch Fossil Fuels Was Forged at COP28(COP28で世界初の「脱化石燃料」協定はどう結ばれたか?〜物議を醸す指導者。世界中から嫌われる草案。あらゆる困難を乗り越えて、気候変動交渉官たちは石炭、石油、ガスからの脱却に関する史上初の合意に達した。)[12/15 Bloomberg Green / 🎁Gift URL]
In the End, an Oil Man Won a Climate Summit Deal on Moving Away From Oil(石油からの脱却をめぐる気候サミットの合意に勝利した石油会社〜スルタン・アル・ジャベールは、国連気候変動会議を担当するエネルギー担当重役であり、それ以前の27の地球温暖化会議では得られなかった結果を代表団にもたらした。)[12/13 New York Times / 🎁Gift URL]
【2】American journalism sounds much more Democratic than Republican(アメリカのジャーナリズムは共和党よりも民主党に近い〜これがバイアスを反映しているのか、それとも現実なのかは、見る人の判断による。)[12/14 The Economist]
今週のエコノミストのカバー特集記事では、アメリカのジャーナリズムが2016年以降、民主党を支持する言葉をますます使用するようになっている傾向について取り上げています。主要なニュースウェブサイトやテレビチャンネル全体にわたってこうした傾向は顕著で、多様な視点を意識的に認識する必要性が指摘されています。環境・気候変動に関するテーマも左傾化が進んでいる傾向があり、COPや気候変動関連報道を目にする際には意識しておくことが大事なのでは、と感じます。
*When the New York Times lost its way(ニューヨーク・タイムズが道を踏み外したとき〜アメリカのメディアは、読者が自分の頭で考える力をつけるためにもっと努力すべきだ)
"タイムズ紙は、アメリカの進歩的エリートが、実際には存在しないアメリカについて独り言を言うための出版物になりつつある。"
日本国内でも認知度が高く、「海外主要メディアによると...」とよく引用されるニューヨーク・タイムズ。こうした左傾化の傾向がある、という意味では知っておきたい背景情報と思いご共有です。
【3】日本が脱炭素で「多様な道筋」主導 AZEC首脳会合の共同声明案[12/13 朝日新聞]
"「多様な道筋」を掲げる背景には、脱炭素に向けた欧米とアジアの考え方の違いがある。今月開催の国連気候変動会議(COP28)では、化石燃料の段階的な廃止をめぐって欧米などと途上国との間で立場の違いが浮き彫りになった。その象徴が石炭火力発電だ。経済成長が続くアジアは石炭火力発電の比率が高く、インドネシアやフィリピン、マレーシア、ベトナムは約5~6割を占める。日本は約3割に達しており、経済産業省幹部は「欧州の厳しい基準は、脱炭素の脱落国を増やすだけ。日本はアジアと現実的な方策を探っていく」と話す。"
【4】脱炭素で新たな国債活用 民間投資に13兆円規模支援策 政府[12/15 NHK]
*GX実行会議 資料(第10回)[12/15 内閣官邸]
「我が国のグリーントランスフォーメーション実現に向けて(GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料) 」として全47ページのPDF資料が公開され、GX関連分野のスタートアップ支援に対する「今後5年間で2,000億円規模の支援」措置について言及されています。国内発のCliamte Techの成長という点では朗報と感じます。
【5】GXは通じない?日本流脱炭素と世界の「ズレ」 COP現場報告 [12/12 毎日新聞]
国内では「グリーン・トランスフォーメーション 」の略として使用されているGXという言葉が、COPやG7等の国際交渉の場面においては定義があいまいで、見せかけの環境配慮、「グリーンウオッシュ」と見られがちであることが指摘されています。水素やアンモニアを化石燃料に混ぜて使い、火力発電所からのCO2排出削減を進める「ゼロエミッション(ゼロエミ)火力」等がGX政策の重要な柱のひとつとして推進していることにも由来しているようです。政府が来年2月に発行予定の「移行債」という種類の国債の名称からGXという文字もグリーンという言葉がなくなりました。今年10月、市場に売り出す際には名称を「クライメート・トランジション・ボンド」とすることが決まった経緯等も紹介されてます。
【6】脱炭素の「補助輪」空回り 排出権9割安、削減効果に疑義:チャートは語る[12/17 日本経済新聞]
民間カーボンクレジット市場が信頼性の問題と需要の減少に直面し、価格が急落している背景として、森林保全などの自然由来クレジットが実際の温暖化ガス削減にほとんど貢献していないという研究結果に起因している事が挙げられています。航空会社やエネルギー企業などがこれらのクレジットの購入を控えているため、市場全体が縮小している一方で、高品質なクレジットへの需要は増加しており、例えば大気中からCO2を直接回収する技術(DACCS)に基づくクレジットは高価なものの信頼性が高いと評価されています。市場の回復と技術開発の加速には、信頼回復とクレジットの品質評価システムの確立が必要と指摘されてます。
【7】10 climate tech innovations that give us hope for 2024(2024年に希望を与える10の気候技術革新〜生ごみで動く船からCO2から作られるジェット燃料まで、私たちが最も期待している気候変動技術の紹介)[12/15 FastCompany]
地域の地中熱利用への移行を支援〜Eversource Energy
CO2ベースのジェット燃料生産を拡大する新工場〜Twelve
米国初の商業的「DAC - Direct Air Capture」施設〜Heirloom
玄武岩の粉塵を農場に撒くことで、農家の収量増を助けると同時に、CO2を恒久的に回収〜Lithos
風力発電と太陽光発電の両方を利用できるゼロエミッション船〜Hurtigruten
再エネを使って巨大な炭素のブロックを温め、必要に応じて熱を放出〜Antora Energy
セメントとカーボンブラックを組み合わせることでエネルギーを貯蔵できるコンクリートを作る〜MIT研究者
断熱材と冷暖房機器を組み込んだパネルを製造〜Hydronic Shell Technologies
次世代地熱発電所から地域の送電網とグーグルのデータセンターに送電〜Fervo Energy
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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