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今週は3月15日(水)から17日(金)にかけて東京ビッグサイトで開催された『脱炭素経営EXPO』に初めて現地参加してきました。イベントの様子や感じた感想を簡単にレポートしたいと思います。
『脱炭素経営Expo』自体は実は今年で2年目の開催で、主に炭素排出量見える化ツール等を中心とした技術・サービスを提供するスタートアップ、商社、専門企業の出展が中心でした。一方で『スマートエネルギーWeek』を関する展示会には7つの展示会が含まれていて、そちらは今年で19回目の開催です。今年初開催のサーキュラー・エコノミーEXPO含め、すべて併せて世界31カ国から1,200社の出展、5万人の参加者見込みという巨大な展示会でした。『スマートエネルギーWeek』の7つの展示会はFC EXPO(水素・燃料電池展)、PV EXPO(太陽光発電展)、二次電池展、スマートグリッドEXPO、WIND EXPO(風力発電展)、バイオマス展、ゼロエミッション火力発電EXPOから構成されてます。会場の様子は以下の公式動画からご覧いただけます。
印象的だった5つの点
水素、太陽光、風力、電池等、大企業からスタートアップまでとにかく圧倒されるほど規模が大きかった点。主にスーツを着た大企業の方が多い印象。
太陽光発電の展示会場はスペースが最も大きく、中国企業の展示が大部分を占めていた点。来年度の展示ブースの販売も会場内で同時に行われ、販売状況が張り出されているのですが、太陽光発電エリアに関しては既に9割以上が成約済になっているほど、盛況ぶりが感じられました。
風力発電の展示会場では日本の企業の出典もあるものの、欧州の政府、企業の存在感が目立っていた点。
ゼロエミッション火力発電のエリアでは水素・アンモニア等、日本政府がGX法案で推進している技術、ソルーションについて、デモ展示があり、理解を深めることができました。時に海外メディアや環境NGO等から「延命策」と批判されることがあるものの、「エネルギーの安定供給」の実現のために現場で真摯に取り組む方の声を聞ける機会はとても貴重と感じられた点。
脱炭素経営EXPOのエリアでは、炭素排出量可視化ツールを提供するスタートアップが大きな展示スペースで注目を集めている一方、大手商社、IT企業等も参入し、競争が激化している点。
注目を集めている脱炭素、エネルギーに関するこれだけ大規模なイベントにも関わらず、BtoB対象だからか、一部業界紙を除きほとんどメディアで紹介されることもなく、SNS上でもあまり話題になってない点。
個人的には脱炭素・気候変動対策、気候テック(Climate Tech)の動向を知ることができ、各企業の担当者や専門家から直接お話が伺える機会として本当に学びの多い3日間でした。様々なテーマに関するセミナーも開催されていて、今回は「気候テック」に関するものに参加したのですが、沢山の気づきを得ることができました。ぜひ来年以降も継続して参加してみたいと思います。
【関連記事】
・脱炭素社会実現へ 太陽光発電の最新技術を紹介する展示会 東京 [3/15 NHK 脱炭素社会への動き]
・今年は大きく躍進する年!? カーボンニュートラル実現目指す「脱炭素経営EXPO 春展」...国内外の参加者で盛況に [3/15 J-CAST 会社ウォッチ]
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】進む太陽光設備の設置
太陽光パネルだけではなく、風力、水素・アンモニアと、あらゆるテーマにまつわる脱炭素化に向けた動きは日々進んでいるものの、展示会に参加することでいろいろな点と点がつながったり、情報収集をしている際に「ひっかかる」キーワードや視点が広がると感じます。今回印象的だった太陽光発電に関しても今週だけで様々な動きがあり、着実に進んでいることが感じられます。
・成田空港“世界最大規模”太陽光パネル設置へ 約4割の電力賄う [3/13 NHK 脱炭素社会への動き]
・川崎市、住宅に太陽光設備を義務づけ 脱炭素、戸建てが主戦場 [3/15日本経済新聞]
・「0円ソーラー」 戸建てでも [3/17 日本経済新聞]
【2】[FT]気候変動関連のソフトウエア分野、投資マネー集める [3/16 日本経済新聞]
今回の脱炭素経営EXPOで炭素排出量測定ソフトウェアサービスに対する注目が集まっていましたが、海外の金融機関が先月公表したレポートでも注目分野として「カーボンソフトウェア」が挙げられてます。こちらはカーボンオフセット取引のプラットフォームを目指しているものですが、生成AIに匹敵する可能性、という点でも注目しておきたい分野であることが伺えます。
米金融大手モルガン・スタンレーのアナリストは「生成AIの分野にばかり目を奪われていると、同じぐらい興味深いカーボンソフトウエア分野の台頭を見逃してしまう危険性がある」と指摘する。投資家心理が冷え込んだ2022年10〜12月期以降も継続的に投資マネーを増やしているのは、AIとカーボンソフトウエアの2分野だけだという。
モルスタが2月に発表したリポートによると、「最大のカーボンソフトウエア」と評価したのが、カーボンオフセット取引市場を運営する米エクスパンシブ(サンフランシスコ)だ。22年に米大手投資ファンドのブラックストーンが4億ドル(約532億円)を出資し、いままでに合計で7億300万ドルを調達した。
【3】カーボン・オフセットとブルーカーボン
カーボン・オフセットについて興味が湧いていたところ、ちょうどNHKの10分解説番組で関連する内容が放映され、文字起こしされた記事も掲載されてました。NHKの解説番組は難解なテーマも分かりやすく説明してくれるのでありがたいコンテンツ、と感じます。
・関心高まる"ブルーカーボン" 脱炭素で漁業者・漁村の復活を [3/16 NHK解説委員室]
・📺みみより!くらし解説“脱炭素”で漁業者も元気に 広がる新たな仕組み [3/16 NHKプラス *3/23 15:00まで視聴可能]
【4】シリコンバレーバンク破綻によるClimate Techセクターへの影響
国内でもシリコンバレーバンク破綻劇やその後の展開、長期的な影響等についての分析記事は数多く報道されてますが、シリコンバレーバンクはclimate techセクターの企業1,550社と取引があり、climate tech セクターの今後に対する懸念や分析を論じる記事も当初から数多く報じられてます。特にソフトウェア系のスタートアップとは異なり技術評価が難しく、長期間に渡る設備投資が欠かせない気候テックのことを深く理解していたシリコンバレーバンクの破綻により、短期的に融資が得られにくくなること等が懸念として挙げられてます。
・How SVB’s collapse hurts the energy transition [3/15 Semafor]
・Silicon Valley Bank Collapse Threatens Climate Start-Ups [3/12 The New York Times]
・How Silicon Valley Bank’s collapse could impact the climate agenda [3/13 The Washington Post]
・What Silicon Valley Bank’s Collapse Means for Climate Tech [3/14 Bloomberg]
【5】テキサス・ヒューストンで開催されていたSXSWの振り返りオンラインセミナー
📺主役はAI、ESG SXSWから見えた未来🔓 [3/15 日本経済新聞]
毎年3月に開催されているテック系有名カンファレンスの一つ、SXSWに参加した日本経済新聞社の記者3名による振り返りウェブセミナーが先日配信され、視聴してみました。昨年大きな存在感を示したNFT/Web3関連の話題が今年はほぼなくなり、今年の主役はここでもAIチャットボット、気候変動(ESG)関連、という点が印象的でした。シリコンバレーバンク破綻の影響の現地での様子、また、GAFAを中心とするテックセクターの陰りとともに、今後のSXSWの存在感が縮小していくのでは、という指摘が印象的でした。
【6】トヨタ難路を行く1~4 「テスラに学ぶことある」 / 「車向け半導体、優先されない」/ ケイレツ襲う脱炭素の圧力 / 水素に なおこだわる [3/14-17 日本経済新聞]
トヨタがEVシフト等で直面している試練についてのシリーズ連載
【7】脱炭素社会を引き寄せる〜クライメート・インテグレート代表理事 平田仁子さんのプロフィール記事連載1~5 [3/13-17 日本経済新聞]
市民活動、NGOの視点での気候変動対策への取り組みについて、歴史的な経緯も踏まえ、理解を深めることができる連載でした。
【8】【PDF】「なぜ?」「ホント?」から始まるGX入門 素朴な疑問vs東大――言われてみれば気になる21の質問にUTokyo教授陣が答えます 東京大学広報誌 淡青 vol.46 2023.03
東京大学が年2回発行している広報誌の最新号の特集はGX。21の素朴な疑問に東大の教授陣が分かりやすく解説する形で構成されていて、とても有益な内容でしたのでご共有です。
【9】YouはどうしてClimate Techに
東京大学FoundX主催によるClimate Techの認知を高め、潜在起業家への啓蒙や支援を目的に行われているオンラインセミナー。3月16日には農林中央金庫 / AgVenture Lab の日野太貴さんがご登壇されました。3月中にあと3回開催予定とのことです。ご興味ある方はこちらのURL からぜひ詳細をご覧ください。
【*3/14 配信の英語ニュースレター 「Japan Climate Curation」(購読者数約1,240人)より】
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は以上となります。ピックアップした記事は以下のデータベースに随時追加していきます。過去にピックアップした記事も含めよろしければ参照用にご活用ください。
🌏 Climate Curation データベース@Notion(フロー系記事まとめ)
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報] https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
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市川裕康
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