#14 広がりつつあるクライメートテック(Climate Tech)についての学び・キャリアの機会
こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。
いよいよ7月となり今年も残り半分となりました。連日の猛暑に加え、電力逼迫が日常的な関心事となる中、今週はロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を巡る新たな方針に揺さぶられてます。短期的なエネルギー・安全保障の懸念、そして長期的な気候変動・脱炭素対策、そしてもちろん日々の生活と、本当に大変な時代を過ごしていることを改めて感じさせられます。
さて、今回冒頭で取り上げたいのは「クライメートテック(Climate Tech)」ということば、成長しつつある業界、学びの機会、キャリアのあり方についてです。
先週号の配信の際にも少し触れましたが、世界的な気候変動の問題を解決するためのテクノロジー、スタートアップ業界を指すこの言葉が海外で頻繁に使われています。今週1週間を振り返っただけでも以下のようなことがありました。
6/30:気候変動についてのオンラインスクール「Terra.do」主催によるジョブフェアの開催(20社のクライメートテック企業が参加、約200人が参加)。時差の関係で夜中1時スタートでしたがプレゼンテーションをする各社の担当者は不況下でも積極的に採用活動に取り組む熱意が強く感じられました。
6/29:今年の春受講した「Terra.do」の同期が集まり、2ヶ月後のキャリアの変化、受講後に取り組んでいることを共有する機会がありました。同期約100人のうちの小グループ20人程のグループの中で、受講後に既に新しくクライメートテック企業に転職したと報告した人が少なくとも既に5人もいて、とても刺激を受ける機会でした。次回は4ヶ月後、受講終了後6ヶ月後のチェックインが開催される予定です。
先週号でお伝えした通り、「Terra.do」のメンタープログラムを通じ、クライメートテックのマーケティングエージェンシーを経営し、Slackでのコミュニティ・メディア「Tofu」を運営しているBettina GrabさんとZoomでお話をする機会を得ました。印象的だったのは彼女自身が2年ほど前にイギリスから米国ベイエリアに引越をし、それまでのB2Bマーケティングの経験を活かしてゼロから「クライメートテック・マーケティング」の実績を挙げ、同じような業界の仲間を募りコミュニティを生み出したとのことです。彼女からは「こんな方にも会ってみては」、ということで1週間で3名もの先駆者のみなさんを紹介頂きとても感謝しています。地球規模の気候変動問題を解決するというミッションに基づいて活動をされていることもあってか、周囲の仲間、そして業界を盛り上げていこうとする配慮、コミュニティ・スピリットを強く感じました。
6/23 クライメートテック業界への転職支援、そのための知識・リテラシー習得のための学習機会、ネットワーキング・メンタリング機会の提供も特に英語圏では毎月のように新しい取り組みが進化していることを感じます。以下のウェブサイトは「On Deck Climate Tech」というフェローシッププログラムを運営している人が作成した情報源のリンク集です。「1対1」のビデオチャットを何百回としていつも聞かれる質問への問いを整理して共有するために作成したとのことです。日本語版もいずれ作成してみたいですね🤞
6/29 &30:クライメートテックの現状と今後を分析した包括的なレポートを3つ目にしたこともあり、簡単にブログで紹介記事を書いてみました(①&②)。
連日の猛暑により世界中で電力逼迫や地球温暖化が身近な話題として取り上げられる中、解決策の一つとして考えてみたいテーマ / 猛暑の夏に考える #クライメートテック:2021年上半期の投資額は600億ドル(約9兆円)以上、ユニコーンは世界78社に #気候テック comemo.nikkei.com/n/nd70293a80f71レポートを作成したのはそれぞれ①コンサルティング大手のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)、②米国シリコンバレー銀行、③インパクトエコノミーに関するインテリジェンスサービスを提供するHolonIQ ですが、国内とは違う次元でキャピタル、人材が集まり、不況下にあっても成長を続けていることが伺えます。
6/30 CO2排出量見える化クラウドサービスを提供するアスエネ株式会社作成によるクライメートテックのカオスマップが公開されました。 欧米に比べるとまだスタートアップの数や規模も小さいながらも、少しずつ機運が盛り上がりつつあることを感じます。
以上、国内ではあまり見聞きすることがまだ少ない「クライメートテック(Climate Tech)」についてこの1週間で見たこと、聞いたこと、感じたことをまとめてみました。半年後、1年後にどのような解像度でこのキーワードに取り組むことができているか、改めて身が引き締まる思いです。是非気になること、参考追記情報、ご質問等あればお気軽にご連絡ください🙂
⭐今週気になったニュース・トピックス
焦点:サハリン2でロシアが揺さぶり、電力逼迫の日本に踏み絵[7/2/2022 ロイター]
“猛暑で電力不足に直面する日本が、石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を巡るロシアの新たな方針に揺さぶられている。権益を維持するには改めてロシアに申請する必要があり、ウクライナ情勢を巡って西側諸国が結束する中、冬に一段と電力切迫する恐れがある日本にとっては踏み絵となりかねない。”
Jパワーや東電の株主総会 問われる脱炭素の実現力[6/28/2022 CNN.co.jp]
“電力大手が気候変動対策の実行力を問われている。Jパワーと東京電力ホールディングス(HD)、中部電力は28日にそれぞれ開いた定時株主総会で、脱炭素に関する情報開示を求める株主提案を受けた。いずれも否決されたが、投資家の関心は単なる数値目標でなく、それをいかに実現するかという観点に及び始めた。”
レポート更新版(2022.6) 「アンモニア利用への壮大な計画 ー 迷走する日本の脱炭素 ー」 [6/30/2022 Climate Integrate]
米最高裁、気候変動と闘う環境保護局の権限抑える バイデン政権に衝撃[7/1/2022 CNN.co.jp]
先週のアメリカではこちらのニュースが大きな話題を集めました。
“米最高裁は6月30日、既存の発電所からの二酸化炭素(CO2)排出量を全般的に規制する環境保護局(EPA)の権限を制限する判断を下した。科学者が温暖化のペース加速に警鐘を鳴らす中、バイデン政権の脱炭素戦略に大きな打撃となる。”
PJP Eye が 世界石油メジャー企業 (BP,ADNOC, Equinor) から「最も市場破壊的な革新的技術大賞」を受賞し、100,000 ポンド(約1700 万円)の賞金を獲得 [6/30/2022 PR TIMES]
炭素蓄電池・充電器メーカーの新興企業PJP Eye社が英国政府の外郭団体Net ZERO Technology center において「The Most Disruptive Technology Award」を獲得したというリリース。日本発のクライメートテックの技術が世界的に認知されている事例として特に注目のニュースでした。
今週のクライメートグラフィック:主要国と新興国のクリーンエネルギー投資における「憂慮すべき」ギャップ [6/25/2022 Financial Times]
主要国と新興国とのクリーンエネルギー投資額のギャップに大きく乖離があること、また中国1国の投資額がとても大きいことが伺えます。
“先週発表された国際エネルギー機関の最新の世界エネルギー展望報告書によると、2015年にパリ協定が採択されて以来、世界のクリーンエネルギー投資は増加しているものの、発展途上国全体のクリーンエネルギー投資の「弱さ」は「最も心配な傾向の1つ」であるという。 IEAは、「新興国および開発途上国のクリーンエネルギー投資の5分の1と、世界人口の3分の2との間のギャップを埋めるために、もっと多くのことを行う必要がある」と述べている。”
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は以上となります。ニュースレターの構成、分量、切り口などは今後少しずつ工夫・改善をして変化をしていく予定です(フィードバック、感想、ご意見も歓迎です🙇♂️🙂)。
今回初めてこちらのニュースレターを知っていただいた方は以下のボタンから購読いただけます。もし興味を持っていただけるようであれば同僚、ご友人に転送、シェアいただけましたら嬉しく思います🙇♂️。
では、どうぞ引き続き熱中症対策等に注意してよい週末ををお過ごしください🙂🙋♂️
市川裕康
株式会社ソーシャルカンパニー
Twitter: @SocialCompany
英語版ニュースレター「Japan Climate Curation」(Linkedin)📬
www.socialcompany.org